「非正規雇用」、「非正規社員」という言葉を聞いてどういうことを連想するだろうか。不安定、低賃金、先が見えない、そういったネガティブなイメージが一般的ではないだろうか。 景気が良いときにはさほど話題にならないが、景気が悪くなったときに特に非正規雇用の問題は顕在化する。正規社員の雇用の尊重を基本原則とする日本の長期雇用システムにおいて、景気の後退や経済変動に際しての雇用調整は、残業を抑制したり、中途及び新規の採用の縮減・停止、非正規社員の雇い止めなどの手段が用いられるからである。 日本には、正規社員=終身雇用、非正規社員=雇用の調整弁(バッファー)という図式があり、正規社員と非正規社員の雇用保障には格差がある。 以前の日本は成文法による解雇規制はなく、民法627条第1項に、期間の定めのない雇用契約について「各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる」(解雇及び退職の自由の原則)と規定さ