すこし前に「リベラルが保守反動になった」という話を書いたところ、「リベラルの定義はなんですか?」という質問をいただきました。これはなかなか難しいのですが、わかる範囲でこたえてみましょう。 まず、議論の前提として私たちは「近代」の枠組みのなかで生きています。近代というのは、政治思想的には、「自由」「平等」「人権」「民主政」などを至上の価値とする社会です。 ところで世界には、近代の理念とは別のルールで動いている社会もあります。代表的なのはコーランの教えに基づいて政治を行なうイスラム原理主義の国で、「神政」は「民主政」と水と油のように相容れません(それに対して中国のような一党独裁は民主政への移行過程とみなされます)。 かつては「文化相対主義」の名の下に擁護されていた近代とは異なる価値観は、9.11同時多発テロによって(すくなくともアメリカでは)全否定されました。「お前はテロリストを認めるのか」と