チーム医療で防ぐ医療過誤
リーダーシップというものは、「組織を作るのが上手な人」、「動機付けが上手な人」、「アイデアを出せる人」というのが3大要素で、「人の上に立つ」リーダーという、古典的なリーダーの風景に一番違和感が少ないのが、組織を作るのが上手であるリーダーシップのありかただった。 通信のコストが高価であった昔、組織というものは通信を効率よく行うための道具であって、リーダーシップを持った人とは、要するに通信インフラを作れる人のことだった。 ネット時代は、通信のコストを引き下げた。通信のコストが下がった結果として、従来的なリーダーシップの購入コストは大幅に下がって、いろんな人にリーダーへの道が開けた。 こういう流れは結果として、「アイデアを持っている人がリーダー」という、リーダーシップのありかたを強化していくのだと思う。 本部のコスト 資格試験は群れるといろいろ便利で、医師国家試験を乗り切るために、昔は全国規模の
学生だった頃、目が見えないのに、近所の「教祖様」が書いたお札を眼に貼ると目が見えて、 乗用車で通ってくる眼科の患者さんがいた。 教祖が本当にすごい人だったのか。病院がすごくないのか。その人が嘘付いてるのか。 そもそも「車を運転するのに視力が必要」なんてこと自体が先入観であって、 その患者さんを観測している我々全員が間違ってたのか。 証明しようがないことは、「絶対こうだ」なんて言えないんだけれど。 未知のウィルス感染症報道 陸上長距離・絹川、五輪出場厳しく…謎の感染症完治せず なんて報道があって、朝の医局でちょっと話題になった。 だいたい半年ぐらい続いている、全身を移動する痛みが主症状で、放射線同位元素を使った検査で 骨折が見つかって、「特別な血液検査」を行ったところが、赤血球と白血球とが 変形していて、「未知の感染症が疑われる」なんて報道。通常の血液検査は、 全て正常所見だったらしい。 「
外来で使えるお金が、月に6000円までに制限されること。 患者さんを何もしないで看取った場合、国から2000円の「ご褒美」がもらえること。 入院した患者さんの扱いは、よく分からない。 後期高齢者医療制度が始まって1ヶ月が経ったけれど、現場の理解だって、まだこの程度。 これから起きる問題を見極めようにも、それ以前の混乱が大きすぎて、まだ外来には何も伝わらない。 現状 「75歳になった人は見殺しに」なんてメッセージが力強く伝わるこの制度は、 だから全然普及していない。 今はまだ移行期間だからなのか、患者さんは旧制度と新制度、どちらか一方を選択できて、 地元医師会も「もう少し様子を見ましょう」なんて、外来主治医制度に名乗りを上げていない。 ソフトウェアのアップグレードに似ている。「人柱」になる人達がまず試して、 その制度が「いい」ものなのかそうでないものなのか、見極めがつくまでは、 普通の人は怖
漠然と「いい人」みたいな印象を持つ患者さんが、「いい人なら来るはずのない時間」に、 ありえないほど軽い訴えを持ってきたときは、すごく気をつけないといけない。 患者さんに対して先入観を持って接することは、もちろん教科書で勧められているやりかたとは 異なるんだけれど、先入観というのは、潜在意識のささやき。意識に上がってこないレベルで、 自ら積み重ねた経験知が何か伝えようとしているならば、それを使わないともったいない。 「誠実な」患者さんとそうでない人。 漠然とした印象それ自体は、思考を正しい診断から遠ざけるためのバイアスしか生まないけれど、 医師が置かれた状況と、その人に抱いた印象とを結びつける「文脈」を 考えるなら、漠然とした印象は結構大切な手がかり。 問題を系の外側から解く視点を提供してくれることがある。 状況文脈というもの この患者さんは、「この状況に来てもいい人」なのだろうか? 「一週
レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります ジャーナリストの 有田 芳生 氏が、北村弁護士の演説を、コラムで批判的に紹介していた。 「声が裏返り、口汚く語っている。どこの議員だろうかと冷ややかに見ていたらキタムラとかいうタレント弁護士だった」 有田 氏の言論は、一見見たままの事実を語ったようでいて、「口汚く」であったり、 「キタムラとかいうタレント弁護士」であったり、事実と事実とをつなぐ言葉に 自らの意思を忍び込ませる、伝統的な言論技法。 冷ややかに見たのは誰なのか。キタムラをしょせんタレントだと見下したのは誰なのか。 もちろんそれは文章を書いた有田氏自身なんだけれど、文章が上手な人は、 それを「読者一般」の視点から見たように描く。 「ジャーナリストである有田氏個人はこう思った」という
レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります 勤務先で「いい人」になるために 勤務する科を変更して1ヶ月。 もともとの循環器内科から、いまは集中治療室。 1年生の頃から、外科をやったり、救急をやったり。いくつもの科を転々としてきたけれど、もう慣れた。 新しい職場に移るとき、迎えてくれる側は必ず簡単な職場の紹介をしてくれる。 勤務時間は何時から何時までなのか。 仕事の内容はどうなっているのか。 病棟の患者の病名や、治療していくのに必要な知識。 他のスタッフの年次や専門。 どの病院にいっても、こうした情報は必ず教えてくれる。ここまでは公平。 それでも新人は区別される。出来のいい奴と悪い奴。使える新人と、ダメな新人。 新人に張られるレッテルというものは、新しい職場に入って最初の1ヶ月で大体決ま
レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります ずいぶん前、島の診療所に派遣されていた医師の話。 僻地の医療に熱意があって、大学から離島の県立診療所へと派遣されていたその医師は、 あるとき学会への出張を県に願い出たらしい。 本土の学会へ出張したいので、その日1日だけ、代理の医師を派遣してもらえませんか?と 県の担当部署に申請を出したところ、出張許可自体は即座に下りた。 代理の医師の派遣は、全く決まる気配がなかった。 許可だけもらったところで、代わりの人が来なければ、島には医者がいなくなる。 その医師が県庁に問い合わせたところ、課長さんの返事はこんなものだったらしい。 「先生の役割は、書類上、その島の医師定数を『ゼロ」から『1』にすることであって、 毎日医療活動を行うことまでは期待していませ
レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります ルールは非常に簡単。 黒は自分の力で戦う。何でもできる代わりに、何かの代償が必要。 白は規則に縛られる。正義とか、神とか法とか、そういうものに。 規則の範囲でしか力を使えない代わり、その規則に逆らったものに対しては非常に強力な力を出す。 黒は何でもできる。世界の規則に逆らわない範囲では、白は黒に対して無力。 白の勝つ戦略は、黒を騙すこと。白は巧みに黒を誘導して、相手を罠にはめる。 黒を世界の規則に違反させると、神の怒りが炸裂して、その時点で白の勝ちが決まる。 黒が規則に触れないで平和に暮らしていると、 そもそも白には存在意義がない。だから争いをけしかけるのは、常に白の側。 物語世界の対立 白と黒。善と悪。光と闇。 正義と悪とを代表する、2つの
レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります 空気を読もうとする人に対する批判が増えたような気がする。 やっている仕事の影響なのか、 こうした意見には違和感を感じる。 空気は役に立つ。少なくとも、自分が病院で仕事をするには。 医療は配分の問題 漂流する宇宙船に100人の人が乗っていて、次のステーションまでの酸素は50人分しかない状況。 残りの酸素を平等に分配すると、全滅 全ての乗組員が共産主義者だったら、リーダー一人を残して全滅 全ての乗組員が人権活動家だったら、やっぱり全滅 みんなで酸素の奪い合いをして、生き残るのはようやく数人 どう立ち回っても、50人分の酸素で50人を生かすのは、けっこう難しい。 臨床医学というのは、「50人分の医療資源をどうやって100人に配分するか」という学問だ
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