東京電力福島第一原発の作業員の日常を描いた漫画「いちえふ」が話題だ。昨秋から漫画誌「モーニング」(講談社)で連載が始まり、23日に発売された単行本第1巻は、無名の漫画家としては異例の初版15万部を出荷。声高な主張はなく、作業員の目から見た「福島の現実」を、克明に、淡々と記している。 作者は竜田一人(たつたかずと)さん(49)。大学卒業後、職を転々としながら漫画家としても活動してきた。転職を考えていたころ、東日本大震災が起きた。高給職場を求めつつ、日本に住む者としてできることはないかとの思いもあり、2012年6月から半年間、地元で「いちえふ」と呼ばれる福島第一原発で働くことになった。 作品の特徴は微に入り細にわたる描写だ。敷地内に入り作業を終えて出るまでの、マスクや防護服といった装備、放射線量のチェック手順などは、まるでマニュアルのよう。作業前の「ご安全に!」といったかけ声や、被曝(ひばく)