婚姻の際、夫婦がどちらかの姓にしなければならない夫婦同氏(どううじ)制。義務づけているのは世界で日本だけだ。同姓にするか別姓にするかを選べる《選択的》夫婦別姓導入を求める声は根強いが、半世紀にわたり進まない。同性婚の法制化は、同性同士の結婚を認めない民法と戸籍法の規定が「違憲状態である」と札幌高裁が判断、次の一歩が期待されているが――。法律婚を望む2人を阻む〈制度〉の課題。酒井順子さんとともに婚姻にまつわるあれこれを木村草太さんに学ぶ(構成:篠藤ゆり 撮影:本社・武田祐介) 事実婚では、婚姻の法的効果は得られない 酒井 私は20年近くパートナーと同居していますが、戸籍上は独身。いわゆる事実婚、という状況です。 木村 法律婚を選択しない理由をうかがっても? 酒井 うーん、「なんとなく」と「面倒臭い」というところでしょうか。結婚できない事情があるわけではないです。ただ、親に許しを得るとか、式を