児童書専門の私立図書館「東京子ども図書館」(中野区)が、東日本大震災の被災地・岩手県陸前高田市に昨秋できた児童図書室の運営を支えている。児童文学者でもある理事長の松岡享子さん(77)は「痛切な体験をした被災地の子どもたちに、読み応えのある本を届けてあげたい」と話す。活動資金を得るために今月、初めて自ら絵を描いた絵本を出版した。 (小林由比) 子ども図書館は、松岡さんや児童文学者の故石井桃子さんらが一九七四年に開いた。神戸市出身の松岡さんは、阪神大震災後、玉石混交の本がどっさり送られてきて、友人の司書らが整理に追われ困惑する様子を見ている。東日本大震災後は「本を集めて送るだけでない支援の仕方はないか」と考えていた。 そんな中、盛岡市のNPO法人「うれし野こども図書室」が、陸前高田市に児童図書室を開設する計画を知り、支援を決めた。「子どもに本を届けるには、仲立ちする大人の存在が重要」との思いか