欧州で新型コロナウイルスが出現して以来、スウェーデンは独自の社会実験で世界から注目されてきた。パンデミック中に政府がほとんど行動制限を加えず、通常の生活を続けるとどんなことになるのかは、スウェーデンを見ればわかる。 スウェーデン方式の成果はこうだ。まず死者数がロックダウン(都市封鎖)を実施した近隣諸国を大幅に上回った。そして経済も近隣諸国と似たようなダメージを受けている。 「本当に何のメリットもなかった」と語るのは、アメリカのワシントンDCに本部を置くピーターソン国際経済研究所のジェイコブ・カークガード上級研究員だ。「自ら傷口を広げただけで、経済的に何の得にもなっていない」。 健康を犠牲にしても経済は回復しない スウェーデンの経験は、スカンジナビア半島から遠く離れた地域とも無関係ではない。新型コロナの感染が恐るべき速度で拡大しているアメリカでは、トランプ大統領に背中を押される形で多くの州が
2012/9/269:0 「幻惑する知」に抗するために〜オウム・ポストモダン・死生観 大田俊寛×山形浩生 大田氏 山形氏 (撮影 / エスクリエイティブフォト) ■近代の構造的矛盾 大田 少し大きな話になりますが、私は近代の構造そのもののなかに、「反近代主義」を生み出してしまう要素が潜んでいるのではないかと考えています。近代の良い点、成功した点は間違いなくあるわけですが、実はその近代の長所や成功そのものが、弱点や難点を生み出す原因にもなっているという、ある種のジレンマのような構造になっているのではないでしょうか。中世から近世になると、平均寿命は若干伸びましたが、それでも四〇歳から五〇歳程度にとどまっていた。ところが近代になって、国家福祉・経済機構・科学技術などが進歩することにより、人間はなかなか死ななくなりました。平均寿命は八〇歳くらいに伸び、一九世紀初頭に一〇億人であった
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