昭和のプロレス界を彩った名レスラー、ダイナマイト・キッドが12月5日に亡くなった。永遠のライバル・タイガーマスクーー佐山サトルの評伝『真説・佐山サトル』を著したノンフィクションライターの田崎健太氏が、佐山とキッドの秘話を明かす――。 衝撃のデビュー戦 初代タイガーマスクこと、佐山サトルさんの人生は1981年4月23日に大きく変わった。 イギリスから一時帰国した佐山さんはこの日、初めてタイガーマスクとして蔵前国技館のリングに立った。一試合だけタイガーマスクとして試合をこなしてイギリスに戻るつもりだった。 「デビュー戦」の相手はダイナマイト・キッドことトーマス・ビリトン――水色のタイツを穿き、手足、そして胸に空気ポンプで膨らませたような筋肉がついたレスラーだった。佐山さんがイギリスに本拠地を移したとき、ダイナマイト・キッドはすでに国を出ており、面識はなかった。 佐山さんはその身体的能力に驚いた