真剣勝負化を目指した先鋭的組織だと評価されたり、真剣勝負の振りをした詐欺組織だと叩かれたりで、評価が真っ二つに分かれがちな伝説のプロレス団体・UWF。最近、柳澤健『1984年のUWF』のヒットをきっかけにUWF本バブルが訪れてるんだが、面白かったのはその一員でも何でもない、UWFによって人生を狂わされた男の自伝だった。 UWFを真剣勝負の格闘技団体だと信じ、入門したくて道場に行ったら、若手選手に「ウチも、プロレスなんですよ。格闘技って言っても、やってることはプロレスなんです」とそっと告げられ、試合で左肩を脱臼したはずの初代タイガーマスク・佐山聡には、三角巾を外して動かせないはずの腕をグルグル回して「UWFはプロレスなんだ。だから本当は、肩は怪我してないんだよ」と告げられ、何かが崩れていく。 彼はその後、シュートボクシングの団体で真剣勝負の格闘技をやることになり、かつて憧れた前田日明がドン・