(写真:Sandra Cohen-Rose and Colin Rose/クリエイティブ・コモンズ表示 2.0 一般) 1.病気の責任を個人に求めることの倫理的な問題点 最近では日本でも喫煙や不健康な生活習慣で病気になった人には健康保険料を上げたりすることで、健康を維持するインセンティブを与えようという流れがあります。一方で、健康的な生活をしている人や、健康診断をきちんと受け入ている人の健康保険料を引き下げようという動きもあります。このような流れの裏には、不健康で病気になってしまうことは自分の責任であるという「自己責任論」であるというニュアンスが存在していると思います。確かに生活習慣など個人の行動によって病気になるリスクが変化することは疑いようがない事実です。しかし、病気になるかならないかに自己責任論を持ち出すのは倫理的に正当化されうるものなのでしょうか? 倫理学の世界では、これは「健康に