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ブックマーク / book.asahi.com (8)

  • 【レビュー・書評】災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか [著]レベッカ・ソルニット - 書評 - BOOK:asahi.com(朝日新聞社)

    災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか [著]レベッカ・ソルニット[評者]柄谷行人(評論家)[掲載]2011年2月6日著者:レベッカ ソルニット  出版社:亜紀書房 価格:¥ 2,625 ■相互扶助の出現、無法状態でなく 大災害が起きると、秩序の不在によって暴動、略奪、レイプなどが生じるという見方が一般にある。しかし、実際には、災害のあと、被害者の間にすぐに相互扶助的な共同体が形成される。著者はその例を、サンフランシスコ大地震(1906年)をはじめとする幾つかの災害ケースに見いだしている。これは主観的な印象ではない。災害学者チャールズ・フリッツが立証したことであり、専門家の間では承認されている。にもかかわらず、国家の災害対策やメディアの関係者はこれを無視する。各種のパニック映画は今も、災害が恐るべき無法状態を生み出すという通念をくりかえし強化している。 むしろこのような通

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    kokogiko 2011/04/03
    これは本当にその通りだと思う。日本の国民性とかじゃなくて、普遍的人間性。そして、災害直後に助け合っていたその当事者同士が、復興が進むにつれ、復興度合いの差によって差別等発生するのも人間性の悲しい所。
  • asahi.com(朝日新聞社):ノンフィクション作家・佐野眞一さん〈4〉 「日めくり」のように過ごす - on reading 本を開けば - BOOK

    ノンフィクション作家・佐野眞一さん〈4〉 「日めくり」のように過ごす[掲載]2011年2月27日自宅の仕事場は多くの書物と資料であふれかえっている=千葉県流山市、郭允撮影著者:宮 常一  出版社:岩波書店 価格:¥ 735 年明け早々、NHK・BSハイビジョンの「日めくり万葉集」という番組に出た。万葉集から好きな歌を選び、その理由を語るミニ番組である。出演する気になったのは“日めくり”という文句が、いまの心境にひどくぴったりきたからである。 およそ1年前、私は緊急入院して大手術を受けた。幸い手術は成功し、短い入院期間で退院することができた。それ以来、大それた仕事の計画など立てず、一日、一日をそれこそ“日めくりカレンダー”のように過ごしていこうと心に決めた。 番組で選んだのは、その気持ちを投影して大伴家持が大病の癒えた後に詠んだ歌と、対馬に着任した防人(さきもり)の歌だった。 対馬の山にか

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    kokogiko 2011/03/03
    冒頭、琉球処分に抗して亡くなった人々の墓碑銘が紹介されている。「生きて日本国の属人になることを願はない。死んで日本国の属鬼となることを願はない。身を廃し首を砕くといえどもまた辞さない」
  • asahi.com(朝日新聞社):葬儀の植民地社会史―帝国日本と台湾の〈近代〉 [著]胎中千鶴 - 書評 - BOOK

    葬儀の植民地社会史―帝国日台湾の〈近代〉 [著]胎中千鶴[掲載]2008年4月20日[評者]赤澤史朗(立命館大学教授・日近現代史)■日常の悲しみにも「日式」を強制 親しい身内の葬儀に外部からあれこれ介入されるのは、愉快なことではない。死者をどのように弔うかについては、遺族に独自の価値判断があるからだ。しかし植民地統治下の台湾では、日の官憲によって葬儀の「風俗改善」が奨励され強制された。書はそれが現地で、どんな軋轢(あつれき)を引き起こしていったのかを明らかにしたものである。 著者によれば伝統的な台湾の葬儀は、次第に腐敗し異臭を放つ死体の穢(けが)れへの対抗手段という観点を重視したものであったという。つまり葬儀とは、遺体を重厚な棺に納め、女たちが号泣し、棺を自宅や寺廟(じびょう)にとどめて時間をかけて良い埋葬地を選ぶという、「正しい」葬り方をするもので、それによって遺族や共同体が

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    kokogiko 2009/11/09
  • asahi.com:神話論理I 生のものと火を通したもの [著]クロード・レヴィ=ストロース - 書評 - BOOK

    神話論理I 生のものと火を通したもの [著]クロード・レヴィ=ストロース [掲載]2007年03月04日 [評者]中条省平(学習院大学教授・フランス文学) ■歴史から構造へ 精緻な神話研究 「20世紀思想の金字塔」と称(たた)えられる書物です。あまたある構造主義文献のなかで未踏の巨峰だったのですが、ついに邦訳が出始めました。原書は40年ほど前に4部作として刊行され(邦訳は5分冊)、この前半の2作は南アメリカ先住民の神話を扱っています。 出発点はボロロ族の神話です。 ある少年が母親を犯す。父親は息子に復讐(ふくしゅう)するため、岩山に巣を作る鳥をとれと命じ、息子が上ったすきに、梯子(はしご)がわりの棒を外してしまう。息子は苦難の末、親兄弟を探して祖母と再会する。その夜、激しい雨が降り、祖母のかまどの火以外、村の火がすべて水で消えてしまう……とまあ、そんな話です。 レヴィ=ストロースは、この神

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    kokogiko 2009/11/05
  • 【レビュー・書評】歌舞伎町・ヤバさの真相 [著]溝口敦 - 新書の小径 - BOOK:asahi.com(朝日新聞社)

    歌舞伎町・ヤバさの真相 [著]溝口敦[掲載]週刊朝日2009年7月31日号[評者]青木るえか■巡ってみたいが、いかにも危なっかしい 実際のところの歌舞伎町の怖ろしさというのはよくわからない。私の知ってる新宿だと、40年ぐらい前、アルタ(昔はスーパーの二幸だった)前のところに若者がたむろってシンナーを吸っていた姿というのがあり、あっちのほうがコワかったという記憶がある。歌舞伎町でいろいろと犯罪が起こっているというのはニュースとして知ってはいても、『新宿鮫』とか『歌舞伎町の女王』とか、どこかフィクションの世界みたいに思っているところがある。 で、このには、40年前の新宿駅前のコワさのようなもの(なんだか話の通じない人たちが、わけのわからないことをやっていて、余計なちょっかいをかけるとすごくアブナイ、というような)が今の歌舞伎町にはきっちりとあり、そしてそれはどのようにして今のような状況に育っ

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    kokogiko 2009/08/01
  • asahi.com:自白の理由―冤罪・幼児殺人事件の真相 [著]里見繁 - ニュースな本 - BOOK

    自白の理由―冤罪・幼児殺人事件の真相 [著]里見繁 [掲載]週刊朝日2007年03月30日増大号 [評者]永江朗 ■富山県警強姦冤罪事件 富山県で発覚した冤罪事件はほんとうにひどい。強姦・強姦未遂で逮捕された人が、服役後にまったくの無実だと分かったのだ。しかも冤罪が晴れたのは、別件で真犯人が捕まったから。 さらにひどいのは、この件に関して富山県警が、当時の捜査関係者を誰も処分しないと決めたこと。1人の人間の人生をめちゃくちゃにしておいて、誰も責任を問われないとは。いや、人生をめちゃくちゃにされたのは服役した男性だけではない。その家族や友人の生活も破壊された。「無責任」とはこのことだ。 冤罪の背景にあるのは自白偏重の捜査だ。富山の事件ではアリバイを握りつぶし、自白を強要した。江戸時代じゃあるまいし、物証より自白に頼る捜査って何だ? しかし富山の事件は特殊な例ではない。里見繁『自白の理由』は、

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    kokogiko 2009/05/26
  • asahi.com(朝日新聞社):ベーシック・インカム入門―無条件給付の基本所得を考える [著]山森亮 - 書評 - BOOK

    ベーシック・インカム入門―無条件給付の基所得を考える [著]山森亮[掲載]2009年4月26日[評者]広井良典(千葉大学教授・公共政策)■夢物語でない無条件の所得給付 「ベーシック・インカム」とは、一定の基礎的所得をすべての人に無条件で給付する制度のことである。そのように記すと半ば夢物語のようにも響くが、日でも近年、給付型税額控除、つまり収入が一定以下の人には(税の徴収ではなく)“税の給付”がなされるという仕組みが議論されるなど、具体的な現実性が高まっている。 書はそうしたベーシック・インカムについて、その構想が市場経済の成立と同時期に生まれた起源に遡(さかのぼ)りながら、各国での様々な展開を丹念に追いつつ、基となる論点を包括的にまとめたものである。取り上げられるテーマは「働くこと」の意味、福祉国家、家事労働とジェンダー、エコロジーやグローバル化との関係など多岐にわたる。加えて著者

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    kokogiko 2009/05/14
  • asahi.com(朝日新聞社):パスポートの発明―監視・シティズンシップ・国家 [著]ジョン・トーピー - 書評 - BOOK

    パスポートの発明―監視・シティズンシップ・国家 [著]ジョン・トーピー[掲載]2009年1月25日[評者]小杉泰(京都大学教授・現代イスラーム世界論)■国家が国民識別、移動管理も可能に 外国へ旅行するときは、誰でもパスポートを取得しなければならない。そうでないと出国もできないし、相手国でも入国させてもらえない。今では常識となっているこのことは、100年前には少しも当たり前ではなかった。 書は、パスポートの起源をフランス革命から説き起こしている。封建的な社会では人は容易に移動できなかったのに対して、移動や旅行の自由が基的な権利として要求された。その一方、反革命派の移動を規制する必要もあって、揺籃期(ようらんき)の議論が揺れていた様子が克明に描かれている。 19世紀の産業資主義と自由主義の発展は、国内的にも国際的にも労働者や移民の移動を促進した。100年前の世界は今より、はるかに移動が自

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    kokogiko 2009/03/17
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