今夏に東日本が直面する電力の供給制約問題に関して、現在計画されているような需要サイドの単純な一律削減策ではなく、価格メカニズムを導入してはどうか、という提言が経済学者よりなされている(cf. ここ)。市場メカニズムの導入という点では確かにいかにも経済学的で、単純な数量割り当てに比べて経済全体の効率性を高める案のように思われるが、一方で、こちらで指摘されているような制度導入のコストのほかに、価格安定性の放棄という犠牲も伴う。以下に、その得失を簡単な表にまとめてみた。 制度 価格の安定性 数量の安定性 停電の抑止 市場メカニズム 供給制約無し ◎ ◎ ◎ × 数量割り当ての導入 ◎ ○ ○ × 価格メカニズムの導入 × ○ △ ◎ 1行目の従来の供給制約がほぼ無い状況下では、価格は原油価格の高騰といった外生的要因を除けば安定性を維持しており、停電が起きない場合に各需要者が必要とする電力(ここで