ビジネス・パートナーと思ってきたMCA/ユニバーサルからの提訴。腹をくくった盛田昭夫は、単に訴訟をターゲットとするのではなく、アメリカ世論を動かし、法律そのものを変える覚悟で、一世一代の勝負に挑んだ。本誌2012年11月号に開始した人気連載「盛田昭夫 グローバル・リーダーはいかにして生まれたか」、通算第38回(今冬に単行本化を予定)。 「アメリカの法律そのものを変える」という覚悟 控訴審で敗訴した後のことだった。ソニー・アメリカの新社長となっていた田宮謙次に、盛田昭夫から電話が入り、「アメリカの全国紙には何がある?」と尋ねてきた。当時は、ウォール・ストリート・ジャーナルだけだった。その一面を借り切って「意見広告を打とう」、というのである。 早速、社内の法務や広報スタッフ、それに広告エージェントを招集し、文案が練られた。ところが、東京と何度もファクスでやりとりするのだが、一向に盛田のOKが出