世界中で猛威をふるう新型コロナウィルスのため、評者が勤務する京都大学でも新学期は1ヶ月を超える休講から始まった。しかし、こんな時こそ部屋に籠もって科学の古典をじっくり読んでみたい。本書は世界で初めて「大陸移動説」を提唱した地球科学の古典で、後に「地球科学の革命」の起爆剤となった書物である。最初に大陸移動とは何かから説明しよう。 世界地図を広げると地球に関して様々なことが読みとれる。まずブラジル東部の凸部が、アフリカ西部の凹部と合うように見える。同様に南アメリカ東部とアフリカ西部の海岸の組み合わせが、ジグソーパズルにでもなっているかのようだ。 ドイツの地球物理学者アルフレッド・ウェゲナー(Alfred Wegener)は、この現象に対して科学的に着目した。大陸の縁がおおよそ合うことだけでなく、北アメリカ東部のアパラチア山脈が、大西洋を越えてスコットランドやスカンジナヴィア半島につながることに
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