1939年に発生したノモンハン事件は多くの人間と国の運命を変える事になる。当事国である日本もソ連も、そして第二次世界大戦の引き金を引くことになる独裁者ヒトラーもこの国境紛争がそれほど重大な意味を持つようになるとは当時は気づいていなかっただろう。だが、まずこの紛争で一人の男の運命が大きく変わる。 その男とはソ連労農赤軍の将官ゲオルギー・ジューコフだ。スターリンにより1937年から吹き荒れ当時も継続して行われていた赤軍大粛清で、ジューコフも告発を受けていた。当然、彼は自分も「人民の敵」として粛清される日も近いと感じていた。モスクワへの出頭命令が届いたとき、彼は妻に別れの手紙を書いたほどだ。しかし、モスクワで待っていたのは予想外の命令だった。彼に与えられた命令は、国境で挑発行為を続ける日本軍を撃退せよというものだった。そして彼はそれを見事に果たし、英雄として凱旋することになる。 第二次世界大戦と