ドンッ、と衝撃音が聴こえた。タクシーを待っていた深夜の六本木。音が鳴った方に目を向けると、信号待ちをしていたハッチバックに後ろから追突した電動キックボードが路面に転がっていた。数秒前に筆者の前を通り過ぎたそのキックボードは、片手にスマートフォンを持ち、もう一方の手でハンドルを握る青年が運転していた。危ないな、と思っていた矢先のことだった。 衝突寸前に気が付いたのだろうか。青年は飛び降りて着地し、転がったキックボードを引き起こしてすぐ、反対車線に飛び出してすぐ先の路地を曲がって逃げていった。ドアを開けてハッチバックから降りようとしていたドライバーは、怒りの声を上げながら運転席に戻り、車を発進させたが、あの路地の先はさらなるいくつもの細い路地が交差している。追いついて捕まえられるとは思えなかった。 いま流行の電動キックボードだが、普及に伴って、悪質な事故が急増している。 2024年には公道を走