前回の記事では、JavaScript の実行エンジン V8 の JIT 出力コードを読んでみました。記事は M1 Mac 上で動かした結果でしたので、ARM アーキテクチャのアセンブラを読むことになりました。 さてそんな ARM アーキテクチャですが、最近の ARM には FJCVTZS という JavaScript 専用の機械語命令があるのをご存知でしょうか?CPU に、特定の言語(それもコンパイラを持たない JavaScript)専用の命令があると知ったとき、私は大いに驚きました(過去にも Jazelle みたいなものはありましたが) 今回は、この FJCVTZS 命令について、実際にどれだけ効果があるのか、V8 をビルドしながら調べてみましょう。 FJCVTZS 命令とは? FJCVTZS 命令は、Arm v8.3 から導入された JSCVT 命令の一つで、JavaScript の言
従来から、「ARMはx86より(電力的に)効率的だ」という言説があります。これは単純に「ARMは省電力なスマホ向けで、x86は電力を食うPC向け」程度のアバウトなイメージのこともありますし、前世紀のRISC vs CISC論争のころからある「ARMはx86 (x64を含む)に比べ命令セットがシンプルなので、命令デコードにかかる電力が少なくて済んで効率的」という議論の形をとることもあります。 この議論については、半導体エンジニアの多くは「ARMがx86 より効率が良いというのは、もはや過去の神話」(in today’s age it is a very dead argument)という認識を共有していると言っていいでしょう。有名なところではApple CPU (ARM)とZen (x86)の両方を開発したジム・ケラー氏のインタビューでも言われていますし、Chips and Cheeseとい
モバイル向けCPUながら、CPUコアに「Zen 4」、GPUコアにRDNA 3世代の「AMD Radeon 700M Graphics」シリーズを備え、驚異的なパフォーマンスを実現した「モバイル AMD Ryzen 8000」シリーズ。そんな魅力的なAPUのデスクトップ版として新たに登場したのが、「AMD Ryzen 8000G」シリーズだ。 最上位「Ryzen 7 8700G」が内蔵するGPUの「Radeon 780M Graphics」は、「GeForce RTX 1650」に迫るパフォーマンスを発揮するという。つまり最速クラスの内蔵GPU(iGPU)といえ、PC自作の新たな選択肢として超注目となっているのだ。今回は、このRyzen 8000Gシリーズを使ってOS別で10万円アンダーの構成を考えてみたので、構成を紹介するとともにその実力を試したい。
2024年の幕開けに、パーソナルコンピュータのハードウェア技術の動向を占う毎年恒例の特集記事「PCテクノロジートレンド」をお届けする。本稿はCPU編だ。Meteor Lakeを公約通り投入したIntel、そしてZen 4が好調に推移したAMD、ライバル2社の今後の計画を追ってみたい。 ◆関連記事リンク (2024年1月1日掲載) PCテクノロジートレンド 2024 - プロセス編 (本稿) PCテクノロジートレンド 2024 - CPU編 (2024年1月3日掲載) PCテクノロジートレンド 2024 - GPU編 (2024年1月4日掲載) PCテクノロジートレンド 2024 - Memory編 (2024年1月5日掲載) PCテクノロジートレンド 2024 - Storage編 (2024年1月6日掲載) PCテクノロジートレンド 2024 - Chipset&NPU編 *** Int
自作er(ジサカー)なら1度は耳にしたことがあるであろう、スッポン スッポン現象は主にRyzen CPUで発生する恐怖の現象で、ピン折れ・ソケット破損といった、PCが起動しなくなる重大な故障に繋がります。 そんな恐怖のスッポン現象ですが、外す前に一工夫すれば回避できる可能性が高まります。 本稿では、恐怖のスッポンを回避・防止できる外し方を紹介しますので、参考にしていただけると幸いです。 スッポンとは スッポンとは、CPUクーラーを外した際に CPUクーラーと共にCPUまで抜けてしまう現象です。 主な原因は、CPUとCPUクーラー間のグリスの固着。 長期間の使用により、グリスでCPUとクーラーが接着剤で接着されたようになってしまいます。 その状態で迂闊にCPUクーラーを外してしまうと、CPUまで一緒に抜けてしまう 通称:スッポンが起きます。 そもそもAM5ソケット以前の貧弱なレバーを爪でとめ
コンピュータを自作する上で最も怖いことの一つは、高価な新しいプロセッサの取り扱い、特にその下側にあるデリケートなピンで覆われた大きな平面の取り扱いです。もし誤ってピンを曲げてしまったとしても、心配は要りません!ほとんどの場合、これらのピンは元通りに戻せ、あなたを襲ったトラブルを誰にも知られることはありません。 これは、コンピュータのプロセッサ(CPU)の曲がってしまったピンをまっすぐに戻すための修理ガイドです。 注意:ピンの曲がりの度合いはケースによって異なりますが、このガイドで紹介している一般的な作業において、すべて網羅することを目的としています。曲がったピンの中には修正不可能なものもありますので、最善の判断で慎重に作業を進めてください。郵送で届いたプロセッサが破損している場合は、ピンを曲げて元に戻そうとすると保証が無効になることがありますので、返品保証を申請してください。 ご注意: C
Introduction 社長 > おーい、お前、そろそろ技術ブログ書いておいて。書かないと減給な。 メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の社長を除かなければならぬと決意した。メロスには何を書けば良いのかがわからぬ。メロスは、村のエンジニアである。コードを書き、コンピュータと遊んで暮して来た。けれども減給に対しては、人一倍に敏感であった。 ということがあったかどうかは定かではありませんが、私はチキンですので、戦うことはせずに減給されないために何かしらのテックブログを書きたいと思います。せめてもの社長への抵抗として、実務的にはあまり役にたたない知識を techblog として記したいと思います。 さて、私は正式にコンピューターサイエンスという学問を学んだことがありません。日頃から業務に当たる上で、コンピューターサイエンスを学んでおかないといけない痛感させられることがありました。大量データを処
By nera the photos コンピューターの演算処理をつかさどるCPU(Central Processing Unit)は、これまで日進月歩の進化を遂げてきました。スタンフォード大学のVLSI研究グループは、CPUの進化の歴史をさぐるべく過去40年間に登場したCPUをさまざまな角度から比較・分析しました。分析データから見えてくる「CPUの進化」の実態とはどういうものなのでしょうか。 CPU DB: Recording Microprocessor History - ACM Queue VLSI RESERCH GROUp - Stanford University http://vlsiweb.stanford.edu/ CPU DBは、スタンフォード大学のVLSI研究グループによってまとめられたCPUのデータベースであり、公称スペックやベンチマークなどCPUに関するあらゆる情
別にグラフィックスに限ったことじゃないし、そもそも論文とか全然関係ないけど。GPU 周りでもたまに話題になるし、自分でもたまにわけわからんくなるから整理しとく。 メインメモリは遅い CPU からメインメモリにデータを読みに行く場合、これはとにかく遅い。例えばレジスタにあるデータを読みに行く場合と比べると、だいたい数倍から数100倍の遅さ。ヤバいからなんとかしよう。もっと早くアクセスできる場所にデータおいとこう。 キャッシュライン CPU がメインメモリからデータを読み出すとき、必ず小さなメモリチャンクをキャッシュ上にロードする。ロード単位はプロセッサによるけど、だいたい 8 ~ 512 バイト。このロード単位をキャッシュラインと呼ぶ。 アクセス対象のデータが既にキャッシュに載ってる場合は、メインメモリじゃなくてキャッシュを読みに行く。ない場合はメインメモリにアクセスするけど、そのデータはも
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