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フランスの公立幼稚園は保育費無料。初めて聞いたときは、耳を疑った。幼稚園にはお金を払って通うものと、思い込んでいたからだ。しかも、幼稚園から小学校へスムーズに移行できるようなカリキュラムが組まれている。小学校に入学したばかりの1年生が「授業中に座っていられない」などの問題を抱える、「小1プロブレム」が起こりにくい仕組みになっている。 3歳からはほぼ全員が幼稚園へ フランスの子どもは、両親ともに働いている場合など、3歳までは保育園に通ったり、保育ママに預けられたりしている。しかし、3歳からはほぼ全員幼稚園に通う。義務教育は小学校からだが、公立幼稚園が公立小学校と同じくらいたくさんあるうえ、私立幼稚園もあるので、希望者はほとんど入園できるからだ。中には公立小学校に併設されている幼稚園もある。 私の子どもが通った公立幼稚園の保育時間は、月、火、木、金曜日の午前8時30分から午後4時30分まで。午
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フランスで暮らしていたとき、何より衝撃を受けたのは、現地校に通わせた子どもの同級生の母親がほぼ全員、仕事を持っていることだった。女性の就業率が85%のフランスでは、働く母親はごく普通の存在だ。仕事と子育ての両立をどうやり繰りしているのだろうか。2000年代に6年半、家族でパリに住み経験したことなどから、背景を探ってみた。 まずひとつ目に、仕事をしていても家族と過ごす時間が十分取れる仕組みが挙げられる。フランスの法定労働時間は週35時間、年間の法定有給休暇は5週間(日本は週40時間、有給休暇は最高で20日)。残業もほとんどないうえ、仕事とプライベートをしっかり分ける習慣が定着しているので、終業時刻になればすぐ帰宅できる。 ふたつ目は、夫が育児や家事に積極的に取り組んでいること。労働者に優しい制度が浸透しているので、男性も育児や家事にかかわりやすいともいえる。フランスでは、小学校を卒業するまで
子どもが小学校に入学するとき、日本の働く母親が直面するのが「小1の壁」だ。午後7時、あるいはもっと遅い時間まで子どもを預かってくれる保育園から一転して、学童保育は通常午後6時まで。長期休暇中の学童保育には給食がなく、お弁当を持参させなくてはならない。入学式、保護者会やPTAの集まり、授業参観など平日の学校行事もある。子どもの小学校入学を前に悩む母親は多い。 フランスにはそんな「小1の壁」はない。まず、入学式はない。フランスの新学年が始まる9月、小学校に登校した1年生はホールに集まり、クラス分けが発表された後、担任とともにそれぞれの教室に入る。親も子も入学式用の服を用意したりしなくてよいのは、助かる。 充実した学童保育は長期休暇中の強い味方 1年生も初日から午前8時30分から午後4時30分まで授業がある。日本の小学校ではしばしば短縮授業があるが、フランスの学校は判で押したように、いつも同じ時
「日本って、すみずみまでサービスが行き届いていて、なんて快適に暮らせる国なんだろう」――。フランスから帰国した日本人同士でおしゃべりすると、よくそんな話題になる。 しかし、そのすばらしいサービスや便利さの背景に何があるかというと、長時間労働が跋扈し、それが女性の育児と仕事の両立を阻む原因となっている。 一方、フランスでは働く人の権利が第一に守られる。働く女性の割合も、日本より7.5ポイントも高い82.7%だ(OECD調べ。2015年)。 ただ、それゆえか、フランスでの日常生活は、日本と比べて不便だと感じる場面も多い。 パリの地下鉄ホームに駅員の姿はない たとえば、パリの地下鉄。日本では当たり前の「間もなく電車が参ります」のアナウンスなどない。発車ベルすら鳴らない。いきなり電車のドアが閉まって動き出すので、乗客は大いに気をつけなくてはならない。そういえば、ホームで駅員の姿を見ることもほとんど
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