「ケンゾー(KENZO)」のアーティスティック・ディレクターに就任してから3回目のショーとなる、2023年秋冬コレクションの前日朝。Nigo(ニゴー)はパリ2区ヴィヴィエンヌ通りに位置するケンゾーのアトリエで、信頼するスタッフとともにキャスティングやコーディネートのチェックを行っていた。実際にショーで使われる何倍もの数の新作アイテムに囲まれ、リラックスしながらも程よい緊張感の漂う現場だ。メディアに見せる姿からポーカーフェイスで知られるNigoは、慌ただしい本番前日においても冷静沈着な姿勢を崩すことはない。 Nigoはラックにかかった服を手に取りながら、「3回目にしてベスト盤のようなコレクションになりそうです」と語ってくれた。新作のクリエイションの柱になっているのは、60年代のブリティッシュモダン。そこにハンティングなどのカントリー要素や、和服のディテールをマッシュアップし、見事に一つのコレ