★☆☆☆☆ (評者)池田信夫 自由貿易の罠 覚醒する保護主義 著者:中野剛志 販売元:青土社 発売日:2009-11-04 クチコミを見る 大恐慌のころから、不況になると保護主義が出てくるのは世の常である。1930年代のスムート=ホーレー法(輸入関税法)が世界的な保護貿易の応酬のきっかけとなり、世界がブロック経済化して第二次大戦の一つの原因となったという反省に立って、戦後GATTやWTO(世界貿易機関)によって貿易自由化の交渉が続けられてきた。 しかしオバマ政権の財政政策には、政府調達を国内製品に限る条項が設けられ、日本でも、民主党が日米FTA(自由貿易協定)の締結をマニフェストに入れたのに対して、農業団体が反対してこの公約が撤回された。このように保護主義に向かう圧力はつねに強く、それを防がないと世界経済の回復は遅れるというのが先日のG20の警告である。 ところが著者(経産省の課長補佐)は