1.理論的土台 リスクが運命の偶然でなく制御の対象となったきっかけは17世紀でした。 リスクを対処するためには、その土台となる確率論と、リスクを数学的に定義するための効用概念が不可欠だったのですね。 ・確率論の発展は: 1662年、パスカル、「論理学、思考の芸術」 が端緒と呼べるでしょう。 ここで、はじめて統計的推測や期待値について記述がなされました。 ここで、パスカルは以下のように述べています。 『被害を受けることの恐怖感は、たんに被害の大きさだけでなく、その事象の確率にも比例すべきである。』 これは、将来のことについて考えるときに、期待値を取ることの重要性をさしています。 この考え方そのものが過去にないものであり、パスカルにおいて、人類の将来に対する考え方は大きな発展をもたらしたのです。 ・効用の発案は: 1731年、ダニエル・ベルヌーイ、「リスク測定の新理論の展開」 がその始まりと呼
答え:100万円。 理由: この株式が将来にもたらすキャッシュフローは、その期待リターン、r、で割り引かれないといけない(よくわからない人は、カテゴリー、ファイナンス理論からの10のメッセージの2~3回あたりをごらんください)。 ならば、将来にわたって得られるキャッシュフローの価値は、 10万円/(1+r)+10万円/(1+r)^2+・・・ となり、数列の式の決まりごとで、 =10万円/r =10万円/0.1 =100万円 となります。 もし、配当が、毎年5%(gとします)で成長するのなら、 価値=配当/(リターン―成長率) =10万円/(0.1-0.05) =200万円 ですね。 この「将来キャッシュフローの現在価値は資産の価値である」というファイナンス理論の基本にそった価格モデルは、配当割引モデルと呼ばれています。 はじめて考案したのはゴードンという人で、1900年代初頭にはこのアイデ
1.ベータは常に期待収益率と線形関係になるのか 結論から言うと、ノーです。 二基金分離が成立している場合に、この線形関係が成立します。 CAPMを成立させる論理は、二基金分離定理です。 これが成立していると、リスク回避的な人々は、安全資産と市場ポートフォリオのみを、自らの期待効用最大化のために保有します。 (※1) 人々が皆保有するのが市場ポートフォリオだからこそ、市場ポートフォリオの変動をリスクの本質と見なすことが許され、そして、市場ポートフォリオとの共分散を用いて、全ての資産の格付をすることが許されているのです。 もし、二基金分離が成立していないのなら、ベータと期待収益率が線形関係になる保証はありません。 (※2) 同じ意味ですが、市場ポートフォリオが効率的でないのなら、これまたベータと期待収益率が線形関係となる保証はありません。 しかも、市場ポートフォリオが効率的である事を実証する事
1.最小分散ポートフォリオ 前回の記事のファイルで試してみればお分かりと思いますが、危険資産(すなわち、リスクがある資産)だけでポートフォリオ(資産の組み合わせ)を作ると、あるリターンに対するもっとも小さな分散の関係を示したグラフは次のような双曲線になります(横軸が標準偏差の場合は双曲線、横軸が標準偏差の二乗である分散の場合には、二次曲線になります。)。 この、最も小さな分散を達成したポートフォリオを、最小分散ポートフォリオと呼び、このラインの事を、最小分散フロンティア、と呼びます。 最小分散フロンティア、とは、あるリターンにおける実現可能な最小分散を示したものなのですね。 この場合、皆さんは、どこら辺を選びますか? 少なくとも、双曲線の下半分は選びませんよね。 なんてったって、リスクが高いのにリターンがめちゃめちゃ低かったり、時にはマイナスなのですから。 なので、合理的な人は、上のほうに
付き合う人を選ぶ基準、色々とありますよね。 「結局顔なんでしょ」という人がいます。 これは、多くの場合、単なるメンクイという言葉以上の意味で、事実だと思います。 もちろん、人によって個人差はあります。 ですが、全体としては。 もうちょっと掘り下げて言うと、人間の社会関係と言うのは、「顔」を通じて成立していて、その顔の美醜(これも単にモデルのようにきれいとかそうでないとかいう以上の意味での美醜)は、時に社会関係を変化させうるもの、という事ができるかもしれません。 その、顔に依存している人間の社会関係のあり方を抉り出した(、そして、時にはそれに依存しない人もいるのだという事も表現した)のが、安部公房の小説「他人の顔」です。 顔がただれてしまった主人公が、自分の社会関係を取り戻すために、この上なくリアルな仮面をつくるという筋なのですが、その過程に主人公がたどる、自分に対する弁護・憐憫・嘲笑の入り
思うに、少なくともここら辺ではないでしょうか: ・市場による適正な価格付け ・ある産業内における企業の財務構成の類似性 ・企業の成長性や超過収益力の類似性 ・市場による適正な価格付け まず、マルティプル法のロジックは、こういうものだと僕は思います。 すなわち、「市場は、同じような企業の財務数値に対しては、同じような評価をする。 よって、結果的に、ある数値(例えば当期利益)と、株価の比率は、それら企業において等しくなる。 だから、他の企業のこの比率の平均をとれば、ある企業の株価について判断することが可能である。」というものです。 何よりも、市場の価格付けにおける公正性に、マルティプル法はその根拠を置いていると思います。 ここに、マルティプル法が別名マーケットアプローチと呼ばれる所以があるのでしょう。 これは、市場の効率性を考えるのなら(これはそのうち、ファイナンス理論からの10のメッセージで
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