数々のトラブルに見舞われながら宇宙空間を7年間航行し、奇跡の帰還を果たした小惑星探査機「はやぶさ」。大小さまざまな部品を複雑に組み上げ、ロケットに積むまでを担う“組み立て職人”として偉業を支えた。「大気圏に突入して燃えていく瞬間は涙が出ました」 中学卒業後、故郷の秋田県から上京し、NECの技能専修学校に入った。「子供のころ戦車のプラモデル作りに熱中して、将来はものづくりを仕事にしようと決めたんです」。以来、「巨大なプラモデルを作るような」科学衛星の組立工として腕を磨き、担当した18機はすべて打ち上げに成功した。今でも毎日の作業内容や工夫したポイントなどを手帳に書きつけ、独自のマニュアルにしている。