大阪の「維新」とまだるっこしい民主主義(小田島隆のア・ピース・オブ・警句) 私が二十代~三十代の頃に心ときめかした「コツコツ改良主義」(この言葉は私が勝手に考えた、後で説明する)のコラムニストとしてはいまだに信用できるのが小田嶋氏だ。 オリンパス問題、TPP、暴対法、大阪での選挙結果、自転車の車道通行問題、各種のコンプライアンス関連事案――思うに、これらのヘッドラインは、いずれも同じ課題をはらんでいる。すなわち、ここに列挙した話題は、すべて、「グレーゾーン」に対する寛容さの欠如に関連しているのだ。 私たちは、自分たちの中にある「日本的」な、「なあなあ」の、「曖昧」で「無原則」なあれこれについて、うしろめたさに似た感覚を抱いている。そして、その一方で、グレーゾーンを取っ払う作業にうんざりしてきてもいる。別の言い方をするなら、われわれの社会は、白と黒との境界領域にある、「不明瞭さ」や「不効率」