財務省の発表によると、2016年度の「内部留保」が初めて400兆円を超え、過去最高になったという。「政府は内部留保を賃上げや設備投資に充てるよう促してきた」というが、内部留保という言葉は企業会計にはない。これは主として利益剰余金のことで、企業の純資産から資本金と資本準備金を引いたものだ。 これを「企業には現金が余っている」と勘違いする人が多いが、利益剰余金の多くは設備などの実物資産で保有されているので、「内部留保を設備投資に充てろ」という話は意味をなさない。それは売り上げから賃金などの経費を引いたものだから、賃上げの原資にするわけにも行かない。日本企業の問題は、別のところにあるのだ。 カネを借りないで貸している日本企業 利益剰余金は企業の資本、つまり株主に対する借金だが、企業が銀行に貯蓄している現金・預金は企業の資産であり、バランスシートの反対側だ。あなたが銀行から住宅ローンを2000万円