「(イラクで多数派の)イスラム教シーア派から、自分の生まれ育った町を守りたかった。抵抗運動だった」 イラクの情報機関に拘束されているサダム・カリム・サリム・ハミス死刑囚(27)は、過激派組織「イスラム国」(IS)での活動をそう振り返った。 ハミス死刑囚はイラクで少数派のイスラム教スンニ派。同派が多いバグダッド郊外の農業地帯の出身で、2007年、2人の兄とISの前身組織に入った。米軍、イラク政府、シーア派民兵を狙い、装甲車を爆破し、道路を寸断する任務を担った。 スンニ派はフセイン政権下で権力をほぼ独占していたが、米国が03年に始めたイラク戦争で同政権が崩壊すると、約100万人が失業したとされる。代わって誕生したシーア派政権下、スンニ派は冷遇され、両派の対立は激化した。虐げられたスンニ派の受け皿になったのが、同派の過激派組織であるISだった。 ISの最大拠点だったイラク北部モスルをめぐり、イラ