欧米諸国では、中国からの電気自動車(EV)輸入の急増がもたらす安全保障や経済的リスクへの懸念が高まっているが、中国の習近平政権にとって、国内での急速なEV産業の台頭は別の問題を生み出している。それは、ガソリン自動車の衰退にどう対処するかというものだ。 中国の自動車産業は販売、生産、輸出の台数において世界最大となっている。上海のコンサルティング会社オートモビリティによると、中国の2023年の自動車生産台数は、過去最高だった2017年の2890万台を上回る3010万台という記録的な数字となった。これは米国の約3倍にあたる。 だが、現在では国内乗用車販売の30%以上を占める中国のEV産業の急成長により、非EV車の販売が激減しているという事実が陰に隠れている。中国は昨年、国内市場向けに内燃機関を搭載した自動車を1770万台生産したが、これは17年の2830万台から37%の大幅減となった。