(英エコノミスト誌 2014年2月8日号) 過去の亡霊が再び安倍晋三首相を取り囲んでいる。 歴史に関して異様に修正主義的な意見を述べ、2008年に職を解かれた元航空幕僚長の田母神俊雄氏(65歳)が、まだ一目置くべき存在だというのは信じ難いことに思われる。だが、東京都知事選に向けた田母神氏の選挙運動は、日本の巨大公共放送局、日本放送協会(NHK)を巡る論争を激化させた。 安倍晋三首相は昨年末、NHKの報道を右寄りに変えることを狙い、定数12人のNHK経営委員会に新委員4人を任命した。2月上旬、新委員の1人である右派の小説家、百田尚樹氏が田母神氏の選挙応援を行った。報道によると、同氏は東京都心部で選挙カーの屋根の上から、日本軍が中国市民を殺した1937年暮れの南京大虐殺はプロパガンダに過ぎず、実際には「なかった」と断言したという。 物議を醸す新会長と経営委員の発言 この一件は、歴史に関する安倍