東浩紀(あずま・ひろき)/1971年、東京都生まれ。批評家・作家。株式会社ゲンロン代表。東京大学大学院博士課程修了。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。93年に批評家としてデビュー、東京工業大学特任教授、早稲田大学教授など歴任のうえ現職。著書に『動物化するポストモダン』『一般意志2・0』『観光客の哲学』など多数 漫画はコスパが悪い(※写真はイメージ) 批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 * * * 作者や出版社の許可なくマンガを無料で公開する、海賊版サイトが話題になっている。2月9日には国会で取り上げられ、3月19日には菅義偉官房長官がサイトブロッキング(アクセス遮断措置)を含め対策を検討していることを明らかにした。 ネットの普及以来、海賊版の流通はつねに著作権者を悩ませてきた。それがいま社会問題化し