衆議院や参議院の選挙制度は日本社会の変化やリクルート事件のような疑獄事件などをきっかけに何度も見直されてきた。個別にみると失敗もあり、試行錯誤を繰り返している。しかし、改正時にはそれなりにきちんとした理屈があり、与野党を巻き込んで時間をかけて議論され、ある程度国民が納得するものだった。 ところが現在、国会で審議されている参議院の定数などを見直す公職選挙法改正案はこれまで見たことがないほどお粗末なものとなっている。人口が減っている時代に定数を6つも増やしたり、比例代表に「特定枠」というわかりにくい制度を作ったりと、自民党の手前勝手な改正案となっている。その結果、参議院の選挙制度は国民が理解困難な複雑怪奇なものに変質してしまいそうだ。 「合区」をめぐって自民党内に軋轢 近年、参議院は一票の格差をめぐる最高裁の「違憲状態判決」への対応に追われ続けている。格差が5倍前後になっても抜本的な対応をしな