先日、噂の執事喫茶に行ってみた。階段を下り、まるでイギリスの社交クラブのような重々しい扉をあけると、黒いスーツを着て白い手袋をはめた「執事」に、「お帰りなさいませ、お嬢様」と迎えられる。うやうやしく頭を下げてはいるが、その態度には妙に威厳があり、なぜかこちらがどぎまぎしてしまう。「こちらが本日の担当でございます」と、やはり黒いスーツに身を包んだ若い男性を紹介される。店にいる時間は、この男性が私たちの「執事役」なのである。 「英国贔屓の大旦那様によりセレクトされた調度品」で飾られた(店でもらったパンフレットによると)サロンに案内される。まわりは若い女性ばかり。そのせいか、メニューも甘いものばかりで、辛党の私には少々つらい。ポットでだされる紅茶がおいしく、つい自分で手をだしてお代わりをつごうとすると、「お嬢様、私がいたします」と、執事が飛んでくる。ひじょうに行儀の悪いことをしたような気になっ