現在この「横浜駅SF」は、内容に修正を加えて小説投稿サイト「カクヨム」のほうで掲載しております。こちらも残しておきますが、なるべくカクヨムの方をご覧ください。 【横浜駅SF - カクヨム】 【第一話】 その朝、富士山は黒かった。 昨日までコンクリートで埋め尽くされた白富士が、一夜にしてエスカレーターの黒一色に染められたのだ。それは長かった梅雨が明け、夏が来たという印だった。 「斜度が影響している」 教授が富士のほうを見ながら言った。 「ストラジーンは一定斜度がある場所にエスカレーターを形成するように記述されている。しかし同様に雨が続くとコンクリートの屋根を形成する。富士山では頂上付近と麓の天候の違いが一定パターンに則ることで、エスカレーターとコンクリートの層がパイ状に重なった構造ができる。これが白富士と黒富士の構成原理だ」 「そうか」 三島ヒロトは相槌を打った。教授の言っている内容は殆ど理