人や橋梁(きょうりょう)の振動,室内の照明光,クルマの廃熱,放送の電波――。こうした身の回りに存在するエネルギーから得られる小さな電力で電子回路を動かそうという「エネルギー・ハーベスティング」に今,世界の技術者が熱い視線を注いでいる。電力は非常に小さいものの,用途によっては1次電池も充電も必要なく動作し続けるという利便性があるからだ。周辺部品の特性が向上したことで応用範囲が急速に拡大している。それをけん引するのは,高効率で低消費電力な無線ICである。本連載では,エネルギー・ハーベスティングの今を全4回にわたって解説する。