日本の子育てが大変なのはなぜ? 母親がだらしないのか? 育児不安をもたらすものは何か? 家族社会学が専門の落合恵美子・京都大学教授が、この半世紀に起きた変化を指摘する。 子育てが大変なのは日本だけ? 子育ては大変だ。 その責任と負担の重さに、育児不安や育児ノイローゼと呼ばれる精神状態に陥る母親も少なくない。しかし子育てという重要任務を担う以上、それはある程度やむをえないことだ、逃れえないことだ――という「常識」を信じ込まされてはいないだろうか。 わたしもかつてはそう思っていた。 そこで、海外調査を始めた。他の国の母親たちはどのようにしてこの問題に対処しているのか、と。 しかし、「育児不安ってありますよね?」と質問を始めようとしたとたん、つまずいてしまった。 育児不安とか育児ノイローゼという状態を理解してもらえない。 日本では子育てに専念している母親が孤立感と重圧で苦しんでいると説明しても、
業界業務の経験豊富な「その道のプロ」に、1時間からピンポイントに相談できる日本最大級のスポットコンサル「ビザスク」。そのビザスク主催のセミナーに、『武器としての戦略フレームワーク』の著者で、國學院大学 経済学部 経営学科教授の手塚貞治氏が登壇。「アイデア創出 実践論」をテーマに、マトリックスの4つの用途や、円環化思考のポイントを解説しました。 前回の記事はこちら マトリックスの4つの用途 手塚貞治氏(以下、手塚):次に、二次元化思考について見ていきましょう。 30年前、私が駆け出しの頃は、こうした二次元のマトリックスを描くと「おお、コンサルっぽいね」と言われましたが、今では誰でも書くようになり、珍しいものではなくなりました。 二軸のマトリックスを作り、そこの平面上で整理する方法です。 例えば、有名なフレームワークとして、製品が既存か新規か、市場が既存か新規かで成長の方向性を考える成長ベクト
ソフトウェアエンジニアは、どのように事業に貢献すべきか? 宿泊施設やレストランの予約サービスを提供する株式会社一休で執行役員CTOを務める伊藤直也さんは、2016年に入社しておよそ2年間、心の奥に抱えた悩みを解消できないまま仕事をしてきました。 伊藤さんは、2000年代から複数のWeb系テックカンパニーで技術部門のリーダーとして活躍し、現在でも利用される個人向けWebサービスのローンチをいくつか手掛けています。一休には入社以前からフリーランスで技術顧問を務めており、会社がヤフーグループ(当時)に入って経営陣が一新されるタイミングで、代表取締役CEOとなった榊淳さんの要請を受けて入社しました。 当時は全て.NETだったというサービス基盤の刷新や技術的負債の解消、開発組織の整備といったエンジニアリングにおいて重要な改善を進めてきましたが、あるとき自身が「事業に貢献していない」ことを明確に意識す
「これからの経営者には、適切なプロンプトを考えるスキルが欠かせなくなる」。先日、ある企業のトップからこのような予想を聞く機会がありました。ここでいうプロンプトとは、生成AI(人工知能)への指示や質問のこと。特集で見たように、社内では膨大なデータが収集・蓄積され、AIが読み込んだり分析したりしています。これまでは部下からの報告がなければ見えにくかった事業や組織のデータを、トップが自ら引き出すことができるようになるわけです。 ただこれは誰もが簡単にできるわけではない。例えばある問題について、どの部門のどのデータを見るべきか。それをどのデータと組み合わせればいいのか。データの性質や現場の実態を把握していなければ、有効な情報を得ることは難しいでしょう。現在、取締役のスキルマトリックスには「サステナビリティー」「グローバル」「財務・会計」などの項目が並びますが、社内外の情報をのみ込んだAIとの対話力
情報と自由に関するちょっとゾッとするささやかな理論自由主義が勝利の凱歌をあげている時代に,ぼくは育った.自由民主主義が勝利して,20世紀をわがものにした――帝国主義もファシズムも共産主義もみんな崩壊して,20世紀末には,アメリカとアジア・欧州の民主主義同盟国が経済面でも軍事面でも上り調子だった.中国ですら,依然として独裁国家ではありつつも,この時期に経済と社会の一部を自由化した.フランシス・フクヤマの『歴史の終わり』に鼻白んだ学者たちも,総じて,資本主義および/あるいは自由民主制が平和・幸福・繁栄を育んだという主張に好意的だった.「勝利したのは他でもなく自由だ」という感覚が,圧倒的に強かった――思っていることを語る自由,好きなように生きる自由,のぞむままに売り買いする自由こそが勝利したんだという感覚が大勢を占めていた. それからほんの20年後のいま,「自由こそが勝者」という考えは,深い疑い
いまから7年前の2017年、とんでもないCMが世に放たれたことを皆さんはご存知だろうか。 DoCoMo25周年スペシャルムービーCM「いつかあたりまえになることを」。 このCMは4分にもおよぶ長さのためTVCMというより、もはやショートムービーなのだけど、とにかく破壊力が高いのでまずはしっかりと見てほしい。 なにこれ。 おそらく、この動画を見終わって、多くの人がこんな状態に陥ったんじゃないだろうか。 なんかしらんけど泣ける。 ただ、そこにあるのはあまりに複雑な感情なはずだ。 ありきたりで分かりやすいそれと違って、心の奥底がザワザワするような、敏感な場所を得体のしれないもので撫でられているような、まるでどこかで自分が経験したかのような、そんな感覚が生じているのだ。 もちろん、そうでない人もいるのだろうけど、それを言い出すと話が始まらないので、みんなそうなったと思い込んで話を進めていく。 感情
Off Topicでは、アメリカのインターネットカルチャーや最新テックニュースの解説をしているポッドキャストや、平日毎日1,000〜2,000文字のプチインサイトを書く有料メンバーシップクラブ「Off Topic Club」をやってます。よかったらチェックしてください! はじめにAppleが毎年行うWWDCで色んなことを発表したが、想定通り多くの時間はAppleが開発したAIシステム「Apple Intelligence」について話していた。動画を見ると全体の1時間43分のプレゼンのうちApple Intelligenceは39分と38%弱の時間について話された。全ての機能は以下動画を見ると分かるので全部解説する必要はないと思いますが、今回はその中で個人的に気になった点を解説します。 WWDC 2024 Video特にAppleが何故画面上を理解するようなAIシステムを作り、それを主に世界
ニューヨーク(CNN) 米炭酸飲料業界紙は6日までに、市場シェアで「ドクターペッパー」が昨年、長らく2位の座にいた「ペプシコーラ」をついに抜いたと報告した。 首位は依然、コカ・コーラで、2位に大差を付ける19.2%の占有率を獲得。同業界紙「ビバレッジ・ダイジェスト」のデータによると、ペプシコーラとドクターペッパーは共に8.3%だったが、「厳密に言えば」としてドクターペッパーが上位にあるとした。 他のブランドではコカコーラ系列の「スプライト」が8.1%、「ダイエットコーク」が7.8%だった。 同紙の編集責任者はCNNの取材に、ペプシコーラとドクターペッパーは競り合っているが、ドクターペッパーには勢いがあり、ペプシコーラは失速していると指摘した。 23種類の原料を使っているとされるドクターペッパーはここ数年、人気を高めており、ぴりっとした飲み口はコーラの代替品になるとの評価も得てきた。 ドクタ
「1人でやったほうが早くできる」という考え方はやめる 友末:では時間になりましたので、対話セッションを開始したいと思います。何名かの方はまだ質問を書かれていると思いますので、書き終わりましたら、合図をいただければ私のほうで回収にうかがいます。よろしくお願いいたします。 では、(会場の質問が)こんなにたくさんあったり、事前の(質問)もあったりしますので、さっそく始めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。 田村洋一氏(以下、田村):「チームワークや分担が苦手です。人に仕事をお願いしても期待した成果が出てこないことが多く、それを修正する手間を考えると、自分1人でやったほうが早くできると思ってしまいます。その分、人より多くの仕事を抱えてしまいます。仕事の分け方、頼み方が下手なのだと思います。アドバイスをお願いします」というご質問です。 ロバート:それをやめてください(笑)。 (会場笑)
いつも時間に追われている、仕事漬けなのに成果が伴わない、プライベートを楽しむ暇がない……こんな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。『結果を出してサクッと帰る 神速時短』の発売を記念して開催された本イベントでは、著者であり国際エグゼクティブコーチ/企業研修講師のヴィランティ牧野祝子氏が登壇。本記事では、世界10ヶ国で20年以上会社員をしてきた牧野氏が、グローバルリーダーが実践している「神速時短サイクル」について解説します。 前回の記事はこちら 仕事漬けなのに生産性が低い日本 ヴィランティ牧野祝子氏:海外の方を見ていると、みんながみんなじゃないですが、平均的に仕事に必要以上に時間を使っていない。でも、生産性が高く幸せ。ここで言っているのは、個人の生産性というよりも、チーム、会社、国、全体を見た時の生産性になります。 日本(のビジネスパーソン)は仕事漬けで、生産性が国として全体的に低く
こんにちは。ヨッピーです。 写真は作者である「まるでゆきみ」さんの才能にビックリして固まっている僕です。 本日お邪魔しているのはNintendo Switch向けに配信されている「ツクールシリーズ るんるんスーパーヒーローベイビーズDX」の作者である「まるでゆきみ」さんのご自宅なのですが、なんとこの「まるでゆきみ」さんは金融機関で正社員として働く傍ら、6人の子どもを育てつつ、合間を縫ってこのゲームを完成させたそうです。 6人も子どもが居たら普通に働くだけでも大変そうなのにゲームまで作ってしまうって、「いったいどういう環境でゲームを作ってるのか」「どうやって時間を捻出しているのか」などなど、お話を聞くことで「いつかゲームを作りたい!」と思っている人の参考になれば、と思って取材に来たのですが、お話を聞いているうち「この人が天才すぎて、話を聞いてもなんの参考にもならないのでは?」と思ってしまいま
日本には、電気自動車(EV)が普及するための条件が完璧にそろっているという。だがテスラ社のイーロン・マスクも日本市場には苦戦していると認める通り、普及は遅々として進んでいない。その原因はどこにあるのか。同じく普及が停滞する米韓の状況と合わせ、米経済メディア「ブルームバーグ」が分析した。 日本はEV普及の「ラガード」 日本は電気自動車(EV)の先駆者となるための、あらゆる条件を備えている。世界平均を上回る所得、堅調な自動車産業、高い新車購入率、技術を称揚する文化などだ。 しかしながら、2023年の日本におけるEVの新車販売比率(新車販売台数に占める特定の自動車の割合)はわずか1.8%だった。 2024年3月、ブルームバーグの気候変動ニュースメディア「ブルームバーグ・グリーン」は、完全電気自動車(BEV)の普及拡大が見込まれる31の国を調査した結果を発表した。するとそのなかで、普及率が思いのほ
組織に“できたてホヤホヤの暗黙知”をシェアする仕組みをどうつくるか?子どもの「逆上がり」習得過程を見て気づいたこと 今日は「子どもの日」ということで、個人的な話になりますが、先日、5歳の娘が「逆上がり」を習得しました。 一人の親として感動を覚える瞬間だったことはもちろん、習得のプロセスがまさにヴィゴツキーの言う「ZPD(Zone of Proximal Development、最近接発達領域)」そのもので、親としても、研究者としても非常に感激してしまいました。 そこで本記事では、「娘の『逆上がり』習得」というきわめて身近なエピソードを通じて私が感じた、ナレッジマネジメントにおける「できたてホヤホヤの暗黙知」の重要性と、「ZPD」を学びにつなげるためのポイントについて、書いてみたいと思います。 ある日の公園での「驚き」の出来事ある日、保育園の帰り道に寄った公園にて。5歳になったばかりの娘が、
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