正式な病名はついていないが、「モルジェロン病」と一般に呼ばれる症例が報告され始めたのは2000年代に入ってからだ。 「モルジェロン病」の患者は、皮膚の発疹やかゆみ、あるいは痛みを感じる。「皮膚の上か皮膚の中を」虫が這っているような、あるいは「蟻がかみついたような」イヤな感覚が患者を襲う。かゆみは体のあらゆる部位に発生し、患者は全身をかきむしって傷つけてしまうことも多い。また、かき壊した傷口からは「繊維状のなにか」が出てくるとされる。この物体の正体は不明だが、患者たちは何らかの寄生虫ではないかと疑っている。 「モルジェロン病」については、単なる妄想ではないかとする懐疑的な意見も多く、アメリカ疾病予防管理センターも「病気であるとか、感染症であるとする証拠はない」としているが、同様の症状を訴える患者は今なお多く、自助団体(http://morgellons.org/)を立ち上げて活動している。