かんきつ類生産量日本一の愛媛県が「紅まどんな」などの高級品種を開発する過程で誕生した未登録品種を米国で商業栽培する「品種ビジネス」に着手する。現地パートナー企業が生産・流通を担い、県は現地取得した特許のロイヤルティー(使用権)収入を企業側から得る仕組みで、今後品種の選定や試験栽培などを進めていく。ブランド農産物をめぐっては、これまで海外流出により国内農業が不利益を被る事例が相次いでおり、中国で産地化が進む「シャインマスカット」では年間損失額100億円という試算も。農林水産省の担当者は「品種保護と海外市場開拓を両立できる先進的な取り組み」と期待を寄せる。 愛媛ブランドで流通し、逆輸入は禁止県は江戸時代後期から温州ミカンの生産が盛んに行われてきた「かんきつ王国」。品種開発の歴史も古く、昭和初期にはすでに県立機関で研究が行われてきた。平成以降は農家の所得安定と繁忙期の分散化を目的に、収穫時期の異