免疫を刺激して「広域中和抗体」を産生させるワクチン候補のタンパク質「eOD-GT8」のCG。(IMAGE COURTESY OF JOSEPH JARDINE, SERGEY MENIS, AND WILLIAM SCHIEF OF SCRIPPS RESEARCH AND IAVI.) ウイルス学者のジョゼ・エスパーザ氏が、1980年代、世界保健機関(WHO)でエイズ(後天性免疫不全症候群)との闘いに着手したとき、氏も多くの同僚たちも、ワクチンこそが解決策であり、そう遠くない未来に開発できると確信していた。 彼らが楽観的だったのは、確かな科学的根拠があったからだ。エイズを引き起こすヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対して、人間が抗体を作ることはわかっていた。そして、体に抗体を作らせるワクチンの開発は一般的かつ有望な戦略であり、麻疹(はしか)や天然痘など、数多くの病気の症例を劇的に減らしてい
集団免疫の歴史からは、新型コロナウイルスに打ち勝つためには有効なワクチンが必要である理由が見えてくる。上は1796年5月14日、8歳の少年ジェームズ・フィップスに初めて天然痘の予防接種を行うエドワード・ジェンナー(1749〜1823年)。油絵。(PAINTING BY ERNES BOARD, DEA PICTURE LIBRARY, GETTY IMAGES) エドワード・ジェンナーやルイ・パスツールら、疫病と闘った初期の研究者たちは、十分な数の人々がワクチンを接種すれば感染症を根絶できるのではないかと、うすうす感じていた。 20世紀初頭、この考え方に着目した獣医師たちが「集団免疫(herd immunity、群れの免疫の意)」という言葉を作った。1920年代にはマウスを使った研究を通して集団免疫の考え方は注目を集め、人口のごく一部が免疫を獲得すれば、感染症の流行を防げるという楽観的な見
2008年6月、ある集会の場で、幼児用の有害な予防接種ワクチンの根絶を呼びかける女優のジェニー・マッカーシーさん。 Photograph by Jose Luis Magana, AP すべての間違いの始まりは、アンドリュー・ウェイクフィールド医師を主要執筆者とする13人の研究者が、1998年に医学雑誌「Lancet」で発表した論文だった。自閉症の原因を、幼児期に受ける一般的な予防接種に求めた研究結果は結局、ねつ造と判明。同氏は2010年にイギリス政府から医師免許を剥奪されている。 しかしこの誤った論文が発表されてから10年以上、アメリカの多くの親たちは不安を募らせ、子どもの予防接種を拒むようになった。1994年に「Play Boy」誌の年間プレイメイトに選出され、モデルや女優として活躍する傍ら、人気トーク番組「The View」の進行役に今年抜擢される予定のジェニー・マッカーシーさんも、
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く