「風乱狂(ふうらんきょう)」と名乗る男性が、絵はがきを携えて高知支局を訪ねて来られました。岬に打ちつける波、太平洋に沈む夕日、満開のダイコンの花など、どれも室戸の美しい風景です。写真には短文が添えてあります。「潮風にさらされ、立ち枯れと思われた木が芽吹いた。両手を天に広げたような力強い息吹きや! あふれた涙の分だけ強くなろうよ! 復活や!復興や!新生や!歩々(ぶぶ)たりといえども歩いていこうよ」 風乱狂は元毎日新聞記者、多田學さん(84)=室戸市室津=のペンネーム。多田さんは、3月11日の東日本大震災の後、古里・室戸の写真を撮り、被災地にあてたメッセージを書き始めました。 「震災のニュースを見て、1934(昭和9)年9月の室戸台風を思い出しました。当時は小学1年生。台風の後にたくさんの支援が全国から寄せられ、大阪から届いた文房具をもらってうれしかった記憶があります。東北の被災地のために