「核の闇市場」を構築したとされ、自宅軟禁が続くパキスタンの科学者カーン博士に対し、イスラマバード高裁は21日、すべてのメディアに核拡散について証言することを禁じた。博士の最近の証言に対し警戒を強めていた軍側の意向が働いた可能性がある。 命令によると、博士は治安当局の許可を得れば、従来通り知人らとの面会や病院での治療が可能で外出も許されるが、メディアと接触して核拡散について語ることは禁止された。 博士は2004年2月、北朝鮮、イランなどへの核拡散を告白。ムシャラフ大統領は罪を問わず自宅軟禁下に置いた。だが、今年2月の総選挙でムシャラフ氏の与党が敗北して以降、自らの拡散への関与を否定し、ムシャラフ氏を批判する発言を繰り返したほか、共同通信に対しても軍が核拡散に関与したと証言していた。(共同)