飯田さんのここまでのお話を伺っていると、「バイオ・インスパイアード」なロボットには大きく分けてふたつの要素が組み込まれているように感じた。 ひとつは、生き物のメカの部分に関わる部分。ミツバチの目の構造や、エネルギー効率のよい歩行ロボットなどはこちらに当たるだろうか。 もうひとつは、情報処理的な部分で、必ずしも大きな脳(コンピュータ)で中央集権的に大量の計算をこなさなくても、条件反射的な分散処理で事足りる、いやその方が適切なことがあるということ。飯田さんの「大ボス」、ブルックスのルンバのエピソードは、そのことを語ってあまりある。 もっとも、飯田さんが日本を飛び出して最初に取り組んだミツバチの「ビジョン」の問題も、本来なら大量の計算処理が必要だったかもしれないのを、メカ的な工夫で計算量を減らすというもので、つまり、メカの問題と情報処理の問題は、不可分に結びついているようにも思える。 そのあたり