昨年春に相次いで表面化したギリシャ、スペイン、ポルトガル、アイルランドの財政危機は、ユーロの価値を揺るがした。 ギリシャは2009年の財政赤字が国内総生産(GDP)の13%に達し、公的債務が08年のGDPと同額となった。経済協力開発機構(OECD)が昨年春に発行した報告書には、その状況から脱するための勧告を9項目挙げている。その中で政府支出、特に公務員の給与の厳格な管理と年金制度の緊急改革、労働市場改革を提案している。 ギリシャは、1981年から90年まで左翼政党の「全ギリシャ社会主義運動」が政権を担ったが、その間に社会主義的政策を進めた。典型的な例が公務員、銀行・国有企業の年金である。OECDは、既に99年5月の報告で年金問題に触れ、年金の拠出と支払い債務の差額(財政負担)はGDPの2倍で、年金制度の大改革が必要と警告していた。当時の年金受取額の拠出額に対する比率は、公務員が5.4倍