経営再建中の日本航空に対し、破綻前の2009年6月に行われた政府保証付きの公的融資670億円のうち470億円が国民負担として確定していたことが、会計検査院の検査でわかった。 日航への融資で国民負担額がわかったのは初めて。検査院は11月にまとめる決算検査報告書に盛り込む方針。 融資したのは、国が100%出資している「日本政策投資銀行」。すでに経営が悪化していた日航に対し、民間金融機関とともに総額1000億円を貸し付けた。このうち政投銀分の670億円については、国が「日本政策金融公庫」を通じて最大8割の損失補償(政府保証)をしており、無担保融資だった。 その後の10年1月、日航は東京地裁に会社更生法の適用を申請。負債総額はグループ3社の単純合計で2兆3221億円に上り、金融会社を除く事業会社では過去最大の破綻となった。 検査院の調べによると、政投銀は返済が見込めなくなったとして、10年7月、政
賞与復活を決定=更生手続き完了で−日航 賞与復活を決定=更生手続き完了で−日航 経営再建中の日本航空が、「生活調整給」として給与の1カ月分前後を3月末までに支給すると決めたことが29日、明らかになった。事実上の賞与復活で、3万人超のグループ社員全員を対象とする。 日航は昨年1月に経営破綻して以来、人員削減や赤字路線撤退など厳しいリストラを推進。今月28日に会社更生手続きを完了し、1年2カ月ぶりに東京地裁の管理から脱した。この間、賞与の支給見送りに加え、給与水準の引き下げや各種手当の削減を実施してきたが、再建へ一定のめどが立ったことから賞与復活に踏み切った。(2011/03/29-19:55)
日本航空は会社更生法の適用を申請して1年の節目を迎えた19日、「鶴丸」の愛称で親しまれ、2008年から使用をやめていたロゴマークを4月1日から復活させると正式に発表した。日航は今年3月末に更生手続きを完了する見通し。デザインを一新した新しい鶴丸を“再浮上”のシンボルに位置づける。 新しいロゴは、赤いツルが空を舞う姿をモチーフにした鶴丸を受け継いだもので、「JAL」の字体を改めた。日本らしいおもてなしの心が込めたという。 大西賢社長はこの日の記者会見で、「過去への回帰や復古調の印としてでは決してない。日航の原点、初心のシンボルだ。“再生”ではなく、新生JALをつくっていくという思いを込めた」と述べた。 旧ロゴは機体の尾翼に描かれたほか、社章に採用されてきた。航空機の塗り替えの際に順次導入する。14年の旧日本エアシステムとの経営統合に伴って現行のロゴを策定したため、鶴丸は次第に姿を消した。
会社更生手続き中の日本航空のパイロットでつくる日本航空乗員組合と客室乗務員でつくる日本航空キャビンクルーユニオンは10日、経営側が対象者202人に通知を始めた整理解雇の無効を訴え、日本政府への指導・勧告を求める緊急要請書を国際労働機関(ILO)に提出した。 要請では、年齢による人選などが差別を禁じたILO条約違反と主張。両組合幹部は同日、記者会見し、(1)約1500人が目標の希望退職に1706人(休職者らを含む)が応じ、これ以上の削減は不要(2)更生計画上の期限は来年3月末で、12月31日付の解雇は根拠がない――などと訴えた。解雇対象者の約9割が両労組の組合員だという。 両労組は8日にも、管財人の企業再生支援機構などに不当労働行為があったとして、救済を東京都労働委員会に申し立てた。機構幹部らが、組合側に「スト権を確立した場合、撤回するまで3500億円の出資はしない」などと通告したことが
日航和歌山寮のグラウンドには雑草が生い茂っていた=和歌山市中日航和歌山寮と社宅の入り口には、来年3月末での閉鎖を告げる紙が張られている=和歌山市中 日本航空が寮・社宅の用地として和歌山市の山林(11万平方メートル)を購入する際、1年弱の交渉で土地所有者の主張を受け入れ、想定の3倍にあたる152億円で購入していたことがわかった。売買にかかわった複数の関係者が証言した。土地は自民党の二階俊博・元運輸相の後援会幹部(当時)が所有しており、日航との会合には二階氏本人や地元の元県議らが加わったこともあった。 この取引については今年8月、日航の破綻(はたん)要因を調査したコンプライアンス調査委員会(委員長・才口千晴元最高裁判事)が「価格の適正を含めて不自然な点があると言わざるを得ない」と報告書で指摘したものの、19年が経過したことで交渉の経緯が「社内資料からは明らかとは言えない」などとして、核
緊急時のために燃料を備蓄している成田国際空港。だが、大口需要家の日本航空が備蓄を大幅に減らした。債務超過の日航に振り回される日々が続く。 会社更生手続き中の日本航空と管財人の企業再生支援機構は6月30日、連結ベースの債務超過額が約9500億円になると発表した。ジャンボ機退役の前倒しによる評価損や人員削減などのリストラ費用が膨らんだため。会社更生法の適用を申請した今年1月時点から、債務超過額は900億円近く増えた。 資本不足を解消するため、支援機構は3000億円と見込んでいた出資額を3500億円程度に増額。金融機関に対しても、債権放棄額を500億円ほど上積みするよう求める。当初より再建計画を「甘すぎる」と指摘していた金融機関の心中は、穏やかではないだろう。 ダッチロール状態の日航経営再建に気をもんでいるのは金融機関ばかりではない。例えば、成田国際空港会社だ。 実は、成田空港ではある一定の燃料
会社更生手続き中の日本航空が、同社の稲盛和夫会長が塾長を務める私的団体「盛和塾」の会員向けに提供していたツアー割引などの特典サービスを取りやめることが分かった。盛和塾側から「稲盛会長らに迷惑がかかる」と辞退を申し出たという。 事実関係の調査を指示していた前原誠司国土交通相は、21日午前の閣議後会見で「盛和塾からメリットを求めたものではない」と述べ、日航側が支援に対する感謝として始めたとの見解を示した。 会員が日航グループの国内・国外ツアーを予約すると、通常価格の8%引きで利用できるなどの特典があったが、業界から「公的資金を受けている企業としては考えられない」などの批判が上がっていた。
きし・ひろゆき/1962年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。経済財政政策担当大臣、総務大臣などの政務秘書官を務めた。現在、エイベックス顧問のほか、総合格闘技団体RIZINの運営などにも携わる。 岸博幸のクリエイティブ国富論 メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。 バックナンバー一覧 4月28日に会社更生手続き中のJALが、国内外の計45路線から今年度内に撤退すると発表しました。これだけだと、JALもいよいよ厳しいリストラを始め、再建が進みつつあるように見えるかもしれませんが、だまされてはいけません。JAL問題の本質は別のところにあるのです。 45路線撤退を評価すべきではない まず最初に強調しておきたいのは、45路線撤退というと、当初発表していた31路線よりも表面的
会社更生法に基づき経営再建中の日本航空は18日までに、給与の5%カットや年間ボーナスの支給見送りを柱とする2010年度の人件費削減案をまとめ、8つの労働組合に提示した。4月からの実施を目差し、交渉に入る。実現すれば、年300億円程度の人件費を削減できる見込み。 10年度の定期昇給の凍結も盛り込み、実質的な賃金カットは5%よりも大きくなる。中核会社の日本航空インターナショナルの約1万6000人が対象。グループ会社についても、同様の削減を検討する。 ボーナスの支給見送りは、昨年冬に続く措置で、10年度は夏冬ともゼロという厳しい内容になる。ただ、再建が順調に進み、業績が回復した場合は、一定の一時金を支給することも検討する。 高額との批判が強いパイロットの給与体系の見直しにも着手。現在、実際の乗務時間にかかわらず、月65時間分の賃金が保証されており、保証時間の引き下げを求める。 ボーナスゼロなどに
昨秋から数ヵ月にわたり、経済界の大きな関心事となっていた日本航空(JAL)の経営再建問題。去る1月19日、とうとう会社更生法の適用が申請されたことで、長年続いた国内航空業界の “大手2社体制”が実質的に崩壊した。近年稀に見る大規模な破綻劇は、日本経済にとって文字通りの「一大事」である。だが、JALの破綻は、我々一般人にとっても対岸の火事ではない。実は、日常生活にさまざまな影響を及ぼす可能性がある。その影響を、様々な角度から探ってみた(取材・文/友清 哲) 去る1月19日、日本航空(JAL)の経営破綻が決定的となった。再起の旗印として掲げた「ニッコーの日」(毎月25日)を、破綻直後に迎えることとなったのは、なんだか虚しくもある。 ともあれ、これからJALは管財人となった企業再生支援機構の主導で、経営再建を目指すことになる。グループ3社合計で2兆3000億円以上もの負債を抱えて破綻したJALは
「このタイミングで、あんな発言をしたら、企業再建に水をさすことがわからないんですよ。やっぱり、あの人は“子ども大臣”だ」。 19日夜と言えば、日本航空(JAL)が東京地裁に会社更生法の適用申請を行い、名ばかりとはいえ、企業再生支援機構による日本最初の「プレパッケージ(事前調整)」型の再生支援がスタートした歴史的な瞬間だ。 ところが、その夜から翌日未明にかけて、立役者の一人であるはずの前原誠司国土交通大臣に対する「失笑の輪」が、永田町、霞が関、そして経済界に静かに、しかし、あっという間に広がった。 それまで、ひとりで強硬に日本航空の国際線からの撤退に反対し、歪んだ再建策の生みの親になっておきながら、その再建策がスタートした矢先に、記者会見やテレビ出演を行い、「選択肢の一つとして、想定しておかなくてはならない」と臆面もなく、それまでの姿勢を転換し、国際線からの撤退を容認すると口にしたからである
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 日本航空(JAL)がついに会社更生法の適用を申請して事実上、経営破綻した。運航を停止させることなく手続きを進める日本初の本格的な事前調整(プレパッケージ)型法的整理は、専門家が「法律的に画期的」(片山英二管財人)と呼ぶ大胆かつ柔軟な試み。従来の「倒産」イメージを払拭することにもなりそうだ。 しかし、その分、事業再生に不確実性が伴う恐れもある。当面の大きな課題は、大幅な人員整理が実行できるかだ。 「債権者平等原則」が外れた意味 「東京地裁民事8部に柔軟な運用を理解してもらえた」 企業再生支援機構のお目付役である企業再生支援委員長を務める瀬戸英雄弁護士(管財人・職務執行者にも就任)は1月19日の記者会見で、まずは今回の法律的意義を強調した。瀬戸弁
新生 JAL の労働条件作りに向け 昨年9 月のタスクフォース設置から始まったJAL 再建 問題の混乱は、1 月19 日に会社更生法を申請すると同時 に、企業再生支援機構が支援を決定し、京セラ稲森名誉 会長をCEO とする新経営陣で再建する方向が確実になり ました。 JJ 労組執行部は更生法学習会実施 今回のプリパッケージ型会社更生では、すでに再生計 画がほぼ作られています。7 月の裁判所への「更生計画 案提出」時には、人員削減や労働条件を含めて労使合意 の状況が求められ、労使交渉はそれまでがヤマです。 労働組合として組合員の雇用と労働条件をどう守って いくのか、JJ7 労組は1 月15 日に弁護士による執行部 学習会を行い、法的知識をつけると共に、どのような運 動が求められるのか意見交換を行いました。 労働契約は継承、労組の対応が重要 銀行の債権放棄や株式の 100%減資などの報道を見
数ヶ月に渡り混迷を極めた日本航空(JAL)の再建問題は、企業再生支援機構の支援の下で法的整理により再建に取り組むことで決着となりました。“法的整理”という言葉の響きから、JALにとって非常に厳しい再建策のように報道されていますが、しかし騙されてはいけません。今の再建策は、JALに甘くて国民や金融機関に厳しい内容となっているのです。 あり得ない過剰支援 JALに対する法的整理については、毎日の報道からは路線や人員の大幅削減などいかにも大規模な荒療治をするように見えますが、本当にそうなのでしょうか。 JALの再建策については、前原国交大臣が就任直後に任命したタスクフォース(“TF”)が昨年10月の段階で私的整理による案をまとめています。その中身と企業再生支援機構(“機構”)が今回まとめた法的整理の中身を比較してみると、呆れる事実が明らかになります。 TF案に比べて機構案では、金融支援の額が25
最終的に「プレパッケージ(事前調整)」型の法的整理を用いた再生を目指した日本航空(JAL)の再建策は、お手本の米ゼネラル・モーターズ(GM)の例とは似ても似つかない泥縄方式に陥った。 原因は、閣内で「子ども大臣」と揶揄された前原誠司国土交通大臣の常軌を逸した未熟さと、手段に過ぎない法的整理をゴールと履き違えた企業再生支援機構の幹部たちの素人ぶりにある。 JALはまだ正式な会社更生法の適用申請というステップに辿り着いたわけではない。しかし、事情通の間では、「裁判所から更生決定というお墨付きを得るのは困難だ」「第2次破綻しかねない」と懸念されているのが実情だ。経済政策におけるこれほどの失政は、明治維新によって、わが国が近代国家に生まれ変わって以来、他に例がないのではないだろうか。 3年後に1157億円の黒字に 転換するというバラ色の絵 まず、筆者が入手した再生計画の原案をご紹介しよう。「Ivy
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