人生100年時代を迎えるにあたり、「95歳まで生きるには年金以外に約2000万円が必要」と強調されれば不安に思うのは理解できる。 金融庁の報告書を担当大臣が受け取らないことをめぐって騒ぎになっている。野党は批判を強め、参院選の争点にしようと試みている。老後の不安から年金に関心の高い人が多いためでもある。 しかし、不正確な知識や誤った情報に基づく議論は控えたい。国民の不安をあおり、公的年金の信頼を傷つけると、制度そのものの信頼が揺らいで若い世代の将来にも大きなダメージとなる。 この機会に、年金制度についてじっくり考えたい。 個人で積み立ては不利 日本の年金制度は現役世代の保険料を高齢者への給付に回す「賦課(ふか)方式」が基本だ。現役世代が減り、高齢者の人口が増えれば当然、年金財政は苦しくなる。 2004年の制度改正で現役世代が払う保険料の上限を固定し、収入の範囲で給付する仕組みに変わった。現