社員の発明(職務発明)の特許の権利は社員、企業のどちらのものか-。ノーベル物理学賞に決まった米カリフォルニア大サンタバーバラ校の中村修二教授が一石を投じた日本の特許をめぐる問題に結論が出た。特許庁が10月、企業での発明に対する特許権を従来の社員から企業のものに変更する一方、発明した社員への報奨を義務づける双方の立場を尊重した方針を提示した。ただ企業が十分に報いることができなければ人材の海外流出を招きかねない。企業も社員の研究意欲を減退させない報奨対策の見直しを迫られそうだ。(板東和正) 消えない「怒り」 「日本の会社で発明したとしてもボーナスをもらうだけだ」 10月7日(日本時間8日)、ノーベル物理学賞の受賞発表後にサンタバーバラ校で開かれた記者会見で、中村氏は喜びの言葉とともに、社員の発明に正当な報奨金を支払わない日本企業への不満をあらわにした。“怒り”の根底にあるのは約13年前に自身が
1972年、福岡県生まれ。SNSmedia&consulting株式会社ファウンダー。元株式会社ライブドア代表取締役CEO。現在は、ロケットエンジン開発を中心にスマホアプリ「TERIYAKI」「755」のプロデュースを手がける等さまざまなジャンルで活躍。会員制コミュニケーションサロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」のメンバーは2千人を超える。おもな著書に『ゼロ』(ダイヤモンド社)、『本音で生きる』(SB新書)、『多動力』(幻冬舎)、『むだ死にしない技術』(マガジンハウス)ほか多数。 ホリエモン的常識 日本で一番有名な企業家、ホリエモンが世間の常識に囚われずに、本音の回答を行なうQ&A連載がスタート。 毎回、起業、IT、テクノロジー、経済、時事問題などあらゆるジャンルの質問に答えていきます。質問は以下から q-horie@diamond.co.jp 週刊ダイヤモンドでの連載と連動
特許庁が17日、企業で社員が発明した成果に対する特許権を「社員のもの」から「企業のもの」に変更する特許法改正に向けた基本方針を提示した。社員の発明が企業の利益につながることが明確になり、コスト面から特許取得に二の足を踏んでいた中小企業の特許出願件数の伸びが予想される。特に期待されるのは、知財意識の後進性が指摘される関西中小企業の特許に対する意識向上だ。 特許庁が調査した平成25年の中小企業の特許出願件数(推計値)は、東京都が約9300件、愛知県は約5800件と他県を引き離しているのに対し関西では最も多い大阪府が約4千件で、兵庫県や京都府は約千件と出遅れている。 「社員のものになる特許を推奨しづらいのが本音だった」。ある大阪府内の中小企業幹部はこう打ち明けた。別の中小製造業幹部も改正に向け自社技術の特許出願を準備し始めた。「これまで社員から権利を主張されるのが怖かったが、会社の帰属になるなら
社員による発明の特許権、その帰属を発明した社員から企業に変える法改正が議論されている。組織を重視する日本の企業社会で、個性のある研究者の意欲をそがないか。慎重な検討が必要だ。 政府の成長戦略を受け、今年三月に特許庁の有識者会議で始まった議論がヤマ場を迎えている。そこへ飛び込んできたのが、中村修二さんのノーベル物理学賞受賞だ。職務発明の帰属や、社員が受け取るべき「相当の対価」の問題を広く世に知らしめたのが、青色発光ダイオード(LED)の特許をめぐる中村さんと、勤めていた日亜化学工業との訴訟だった。 職務発明は企業で職務として行われた発明をいう。特許法三五条では、職務発明で特許を受ける権利は社員に帰属し、この権利を企業が社員から承継するときには、社員は「相当の対価」を受けることができる。見直し案はこれを百八十度転換し、社員に配慮しながらも会社帰属にする。
米カリフォルニア大サンタバーバラ校の中村修二教授(60)が、ノーベル物理学賞の受賞決定後初めて日本に帰国し、都内で読売新聞のインタビューに応じた。 受賞決定を喜ぶ一方で、政府が検討する特許法の改正案について「むちゃくちゃだ。このままでは、技術者が日本から出て行ってしまう」と批判した。改正案は、仕事で発明した特許を「社員のもの」から「会社のもの」にする内容だ。 中村さんはかつて、青色発光ダイオード(LED)を発明した対価として、開発当時に勤めていた日亜化学工業(徳島県)に200億円を請求する訴訟を起こし、約8億円で和解した経緯がある。 2000年から米国を拠点に研究している。「米国はチャンスが平等に与えられるが、日本は違う」と指摘。「日本は、ベンチャー(新興企業)が開発した技術が守られるように司法制度を改革し、人材が流通する仕組みも作るべきだ」と話した。
社員が仕事で発明した特許について、特許庁の特許制度小委員会は17日、現行の「社員のもの」から「会社のもの」に特許法を改正する案を示した。報奨の支払いを企業に義務づけるなどして、社員の待遇が悪くなるのを防ぐ。訴訟のリスクを減らすため、新たなガイドラインもつくる。 特許法は1921年から、仕事で発明した特許の権利を「社員のもの」としてきたが、これを大きく転換する。政府は特許法の改正案を開会中の臨時国会にも提出する。 いまの特許法では、社員の発明の特許を受ける権利を「会社のもの」にするには、企業が発明に見合う対価を支払わなければならない。この対価の水準をめぐって高額の訴訟が相次いだことから、経団連などは「高額の訴訟リスクがあると企業の競争力が弱まる」などとして、特許は最初から「会社のもの」にする法改正を求めていた。 特許庁はこの日の小委員会で、最近の会社は、発明につながるような研究開発は個人では
ノーベル物理学賞の受賞が決まった中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)は17日、都内で朝日新聞の単独インタビューに応じた。授賞理由になった青色発光ダイオード(LED)の効率をさらに高める研究を進めており、省エネルギーに貢献したい考えを明らかにした。ノーベル賞に値する発明を日本で増やすには、研究環境を大きく見直す必要があるとも指摘。社員が発明した特許を「会社のもの」にする特許法改正には「猛反対する」と述べた。 LEDは白熱電球と違い、電気を直接光に変えるので効率がよく、劣化も少なくて寿命が長い。このため、照明だけでなく、薄型テレビの部材などにも幅広く利用されている。いま取り組んでいる自らの研究については、「製品化されたLEDは、投入電力に対して光として出力する効率が50~60%。これをなるべく100%に近づけたい」と語った。具体的には、装置の構造や素材の製造方法を変えること
政府は、社員が仕事で行った発明(職務発明)の特許権を「会社のもの」とする代わりに、社員に金銭的な報酬や昇進などの報奨を出す社内規定を設けるよう企業に義務づける方針を固めた。 企業が社員の成果に報いることを明確にして発明意欲を高める狙いだ。発明の「対価」を巡る企業と社員間の訴訟を減らすことも目指す。 原則、中小企業も義務づけの対象となる。政府は、新たな改革案を17日の特許庁の有識者会議「特許制度小委員会」に示し、早ければ開会中の臨時国会に特許法改正案を提出する。 具体的な報奨規定の内容については政府が指針を作って定める。指針では、金銭報酬の具体的な水準などは定めず、労使間の合意で決めることを盛り込む。
企業の従業員の発明には自由発明と職務発明に分かれる 高輝度青色発光ダイオードの研究に対するノーベル賞受賞をめぐって、職務発明の扱いが注目されています。まず、現行制度を整理すると、企業の従業員の発明には自由発明と職務発明の二種類に分かれます。 自由発明というのは、本来の職務とは全く関係のない発明、例えば、「銀行員が趣味で発明した新しい釣り具」といったものです。これは、当然ながら、その銀行員が全面的に権利を持っています。たとえ、企業がその従業員のした自由発明についてまでも、自動的に企業に帰属させるような契約を事前に結んでいても無効です。 一方、職務発明は、会社の業務範囲に属し、発明行為がその従業員の職務に属する(または属した)発明です。発光ダイオードの製造を行うメーカーが、その研究員に青色発光ダイオードの研究をさせた結果、生み出された発光ダイオードに関する発明は、典型的な職務発明です。 現行法
社員が仕事で生み出した発明について、特許庁は、その特許権を会社に変更したうえで、社員への報奨を義務化する方針を固めました。 仕事上の発明による特許は、現在、「社員のもの」になっていて、企業側が社内規定によって現金を支払い、社員から権利を譲り受けています。しかし、その対価に不満を持つ社員からの訴訟リスクがあることから、特許庁では、仕事上の発明による特許を「会社のもの」とするよう現行法を改正し、企業側が社員に現金の支給や昇進などの報奨を義務付ける方針を固めました。特許庁は17日に有識者会議を開き、報奨の社内規定がない中小企業向けのガイドラインなどを議論します。そのうえで、来年の通常国会に特許法改正案を提出したい考えです。
社員発明「企業のもの」=報酬規定義務付け−政府 政府は9日、社員が職務上の研究で発明した特許を「社員のもの」とする現行の職務発明制度について、企業が発明に貢献した社員に報酬を支払う社内ルールを定めることを条件に、「企業のもの」に変更する方針を固めた。研究開発に取り組む社員の意欲を維持しつつ、「発明の対価」をめぐる企業の訴訟リスクを減らすのが狙い。特許庁が来週開く有識者委員会に改定骨子案を示し、了承を得た上で特許法改正作業に入る。早ければ開催中の臨時国会への法案提出を目指す。 ノーベル賞、勝因は「怒り」=日本企業に苦言も−中村さん 現行法では、社員の発明について、企業が将来の商品化などを視野に特許を申請する場合、「相当の対価」を社員に支払って、特許を取得する権利を譲り受ける必要がある。(2014/10/09-15:35)2014/10/09-15:35
消費税再引き上げ実行を=特許権、企業に帰属すべき−経団連会長 経団連の榊原定征会長は8日、札幌市内のホテルで記者会見し、消費税率の10%への再引き上げについて、「計画通り再引き上げを決めていただきたい」と述べ、当初予定通り来年10月から実施すべきだとの考えを改めて示した。 同会長は、「財政や社会保障制度の安定化、安定成長の基盤整備、国際的な信認などさまざまな面からも上げるべきだ」と強調。ただ地域経済への影響については、「しっかりと状況を見た上で必要な措置を検討すべきだ」とし、一定の配慮を政府に求めた。 青色の発光ダイオード(LED)開発に絡み日本人研究者3人がノーベル物理学賞に決まったことについて、「大変喜ばしい」と祝意を表明。一方で、受賞が決まった中村修二氏が、かつての在籍企業に青色LED発明の対価を求めて起こした訴訟(既に和解成立)に関連し、「日本では特許権は発明者の帰属になってい
政府が発明の特許を従業員ではなく企業に帰属させるために法改正を検討していることについて、経団連の榊原会長は、「企業のリスクが大きい」として制度の改正を強く求める考えを示しました。 経団連・榊原定征会長:「大きな企業のリスクもあるし、イノベーションを推進する上での一つの大きな障害になっている。(特許は)企業の帰属にするという主張をし続けている」 特許を巡っては、ノーベル物理学賞を受賞したカリフォルニア大学の中村修二教授が企業を提訴し、和解するなど、従業員が十分な対価を受け取っていないとして、企業を相手取り、訴訟を起こすケースが相次いでいます。日本の特許法では、特許は発明した個人に帰属しますが、政府は経団連など経済界の要望を受けて、企業の帰属に切り替えるため、早ければ今の国会で改正案を提出する方向で調整しています。経団連の榊原会長は、「イノベーションを推進するうえでの大きな障害になっている」と
名古屋大は8日、ノーベル物理学賞に決まった特別教授、赤崎勇さんの執務室を報道陣に公開した。名古屋大によると、執務室が入る「赤崎記念研究館」(名古屋市千種区)は、赤崎さんの青色発光ダイオード(LED)関連の特許料収入のうち名古屋大に入った約14億円を元に建設された。 執務室は最上階6階の角部屋。赤崎さんは月に1、2回、大学や企業関係者との会合に使っている。 部屋の壁にはこれまでに受けた表彰状や記念写真が飾られ、着席すると窓から構内にある豊田講堂のLEDを使った時計台が見える。研究館の設計時、職員らが「先生の発明をいつでも見られるように」と計らった。 名古屋大によると、赤崎さんは昭和34~39年と、56~平成4年に教授などとして在籍。その間、LED関連の六つの基幹特許と関連する50の特許を取得した。19年に主な特許の期限が切れるまで約50億円の特許料を生み出し、名古屋大には19年以降分も含め、
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