「美術解剖学」という学問をご存知でしょうか。医学の解剖学とは異なり、骨格と筋肉について研究し、構造や動きを知ることで美術制作に活かす学問です。小田隆氏は、著書の「美しい美術解剖図」の中で、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画や彫刻など、過去の名作をもとに美術解剖図を描き、絵画や造形などを美術作品を制作する人のために、肉体の構造を詳しく分析、解説しています。 本記事では、カラヴァッジョが制作した「愛の勝利」からキューピッドの美術解剖図をご紹介します。 >この連載の他の記事はこちら >前回の記事はこちら 美しい美術解剖図 愛の勝利 カラヴァッジョが制作した油彩で、極めて精緻な筆致により描かれている。ベルリンの絵画館で学生時代に見た時の衝撃は、今でもよく覚えている。 天使とよく混同されるがキューピッドはローマ神話に登場する愛の神である。ただし、ここでは同じビジュアルイメージを持った存在として扱うことと