メダルも大いに期待されたスポーツクライミング女子複合で波紋を呼んだあるシーン。決勝進出選手中で最も背が低い森秋彩が、高く設定された最初のホールドをなかなかつかめなかったのだ。試合以前の問題では、という声もあがったが、森本人はあくまでも毅然と……。
メダルも大いに期待されたスポーツクライミング女子複合で波紋を呼んだあるシーン。決勝進出選手中で最も背が低い森秋彩が、高く設定された最初のホールドをなかなかつかめなかったのだ。試合以前の問題では、という声もあがったが、森本人はあくまでも毅然と……。
――相手との噛み合わせに関して、特に意識を強めた時期はありましたか? 森保 やっぱり最終予選のときですね。チームの積み上げを考えれば最終予選でも相手を上回っていけると思っていたんですけど、相手もすごく対策してくるじゃないですか。しかも、準備期間が短い。「相手はこう来るから、こうする」という攻守のイメージをよりクリアにすることが大切なんだなと。選手たちからも「チームコンセプトのベースは分かりましたけど、この試合でのベースをください」という要望がすごくあったんです。 ――それが相手分析であり、噛み合わせの部分ですね。 森保 もちろん、それまでもやっていたんです。テクニカルスタッフもしっかり分析してくれていましたから。でも、もっと詳しく、もっと細かく、もっと分かりやすくしてほしいと。そのときに感じたのは、普段、自チームではそれくらい細かく言われているんだろうなということ。こちらは伝えていたつもり
2021年、日本サッカー界最大のジャイアントキリングは、天皇杯2回戦で起きた“おこしやすの奇跡”だった。関西1部リーグ所属のおこしやす京都ACが、J1の強豪サンフレッチェ広島を5対1で破ったのだ。その舞台裏には、「まともにボールを蹴ったことがない」と語るサッカー未経験の分析官がいた。(全2回の1回目/後編へ) 学生時代、部活に所属していなかった“サッカー店長”こと龍岡歩は、サッカーを見ることに多くの時間を費やした。高校卒業後は、9年間の海外放浪を経てサッカーショップに就職。並行して書いていた戦術ブログが関係者の目に留まり、サッカー素人でありながらJ3の藤枝MYFCに分析官として加入することなる。その後、おこしやす京都ACに活躍の場を移した龍岡は、先述したジャイアントキリングの当事者となった。 「試合前に『この試合勝てるよ』って言ったら、チームのみんなに笑われました(笑)。監督ですら10回に
プレミアリーグ、リーズ監督マルセロ・ビエルサの人柄と戦術を日本人唯一の“門下生”である荒川友康氏(FCトレーロス所属)が語るこの連載。第4回の前編はアーセナル戦前の記者会見をもとに「失点の7通りのパターン」やその後の試合の戦術などについて解説します(後編はこちら。記事最終ページ下の「関連記事」からもご覧になれます)。 11月22日のアーセナル戦前、ビエルサの評価は揺らいでいた。リーズは前節、前々節とボールを支配しながらも、レスターに1-4、クリスタルパレスに1-4と2試合連続の大敗が続いていたからである。 ビエルサのチームは攻撃は良いが、守備が脆い──。そんな批評が再び噴出していたのだ。ビエルサという監督は戦術マニアと賞賛される一方で、ステレオタイプの批判を浴びやすい監督である。守備が脆い、ハードワークで選手が消耗する、チームが後半戦にスタミナ切れして失速する云々――。 だが、こうした批判
“エル・ロコ(奇人)”のニックネームがある一方、名将の誉れ高いマルセロ・ビエルサが今季はプレミアリーグで指揮を取ります。Number Webでは、日本人唯一の“門下生”である荒川友康氏(FCトレーロス所属)の解説のもと、その戦術や素顔について連載します。第1回は、現在マンチェスター・シティを率いるジョゼップ・グアルディオラとの対話についてです。 (後編「ビエルサとグアルディオラ、『戦術的に信じられない』雨中の“美しい試合”の衝撃」は記事最終頁下の「関連コラム」からご覧ください) その対話は2006年10月10日、アルゼンチンの片田舎・マキシモパスで行われた。 マルセロ・ビエルサは、目の前に座る痩身の男に鋭い眼光を投げかけこう聞いた。 「あなたはこのサッカー界に潜んでいるゴミについてよく知っているのに、なぜ嘘で塗り固められたこの世界で指導をしたいと思うんですか?」 痩身の男の名前はジョゼップ
9年ぶりのJ1復帰を目指すジェフユナイテッド千葉は、今季、いままでにない大改革を進めている。 エスナイデル新監督が率いるチームは、極端なまでのハイラインで守り、猛烈なハイプレスをかけ続ける。前にも後ろにも、とにかく走るのだ。夏場でも、その運動量が落ちることはない。なぜ、そこまで走れるのか――。 監督は「そこにミステリーはない」と言葉に力を込める。厳しいフィジカルトレーニングを課しているのは想像に難くないが、それだけではない。強度の高い練習をこなす体作りから見直し、徹底して食事改善に取り組んでいるのだ。 現役時代、イタリアのユベントス、スペインのレアル・マドリーなど、欧州の名門クラブでプレーしてきた元アルゼンチン代表にとっては、当たり前のことを当たり前にしているだけだという。 脂身、濃い味、白米が並ぶ食事に監督があ然。 きっかけは、シーズン開幕前の沖縄キャンプだった。 「なぜこんなに味付けが
歴史と経験の差は、目に見えない。でも、それは試合の行方を左右する重要なファクターとなる。 2010年にELが始まってから、最もエモーショナルな試合の1つに数えられるリバプールとドルトムントの対戦でも、それが勝敗を左右した。 「サッカーの世界では2-0になって試合の行方が決まるということは、よくある。でも、ここアンフィールドでは、そしてリバプールというチームは、そうはならないんだ」 リバプールのクロップ監督は、4-3の大逆転劇を演じた試合後にそう語った。 一方のドルトムントで、今年に入ってから重要な試合でスタメンを外れることが多かった香川真司は、スタジアムに着くと、全選手のなかで4番目に早くロッカールームへ入った。この重要な試合に向けた準備に、いち早く取り組もうとしていたのだ。そんな彼も、バスがスタジアムに近づいていく過程で、リバプールファンとアンフィールド・ロードの作り出す雰囲気に、怖さの
「ごめんなさい、僕、かなり鼻声ですよね……」 3月中旬、湘南ベルマーレの10番を背負う菊池大介選手にインタビューした時のこと。 取材自体はスムーズに進んでいたものの、菊池選手はしきりにまばたきをし、鼻をすすっていた。 もしかして菊池選手、花粉症ですか? 「はい、数年前に発症したんです。(練習場の)馬入ふれあい公園は川沿いで海も近いぶん風が強いので、この時期は大変です」 豊富な運動量と確かなテクニックでチームの中軸を担う菊池選手。そんな彼がツラそうな表情を浮かべるのを見て、なんだか取材するのがしのびない気持ちになった。 そういえば、筆者は福西崇史さんのメルマガを担当しているのだが、福西さんにも現役時代には花粉症で苦しんだという話を聞いたばかり。ちなみに関東地方ではスギ花粉のピークが過ぎつつあるが、全国的な花粉情報を見ると西日本や東北地方ではまだ「非常に多い」のマークだらけ。トップアスリートだ
「何が僕たちに欠けていたのかは分からない。今日は難しい試合だった。来年のためにも、この試合から僕たちは学ばないといけない」とアザールは試合後にコメントしている。 両軍無得点で迎えた、チェルシー対アトレティコ・マドリーのCL準決勝2ndレグ。もっとも、1stレグでのスコアレスドローは、狙い通りに敵地での敗戦を避けたチェルシーに若干有利な結果と理解できた。 そして、チェルシーはホームで先制、2ndレグでも思惑通りに試合を進めると思われた。CBのルイスがボランチに、SBのセサル・アスピリクエタが2列目右サイドに入った、DF6名を含むスタメンからして、守りを固めて敵をじらし、リードを奪った後は更に敵を焦らせて息の根を止める基本プランだったのだから。 しかも、36分に先制ゴールを決めたのはフェルナンド・トーレス。11歳での加入からプロデビュー、そして6シーズンを過ごした「心のクラブ」を相手に奪った得
今回のCLファイナルを一言で表現するなら、こうなるだろうか。 「最強の個」対「最強のインテンシティ」。 史上初の同都市クラブ対決となったレアル・マドリー対アトレティコ・マドリーの決勝は、異なる武器を持つ2チームによる大接戦になりそうだ。 アトレティコの90分間走り続けるタフネスは、あのヨハン・クライフでさえも称賛している。 クライフは母国オランダのテレグラフ紙のコラムでこう綴った。 「アトレティコは持っている力の200%でプレーすれば、たとえどんな強豪と対戦しても相手の力を弱められることを証明した。強烈なインテンシティがあれば、相手のパスが正確でもインターセプトでき、スペクタクルなアクションを妨害できる。これは選手たちがただ頑張っているだけでなく、優れた技術と戦術眼を持っているからだ。今季、アトレティコの選手たちは、足、体、頭のバランスが素晴らしかった」 「4-4-2」のデメリットを凌駕し
ここ数年、ツアーの「明日」を語る議論がどうにも盛り上がらなかった。男子はラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチらBIG4が、女子は「1強」のセリーナ・ウィリアムズが君臨。頭を押さえつけられ、逸材とされる若手が芽を出せずにいたからだ。 一方で、35歳のトミー・ハースが2大会に優勝するなど2013年の男子はベテランの頑張りが目立った。年間65大会のうち、21歳以下の優勝はわずか1大会、逆に30代選手の優勝が16回もあった。なぜベテランが強いのか。ナダルは専門誌『スマッシュ』に載ったインタビューで「テニスは円熟と経験がものを言う」と話し、それに加えて最新のスポーツ科学が体力面でベテランを「手助け」するとしている。 こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。 NumberWeb有料会員になると続きをお読みいただけます。 残り: 1072文字 NumberWeb有料会員(月額330円[税込])は
8月の豊田国際ユースサッカー大会で準優勝したU-16日本代表に、ちょっと変わった名前を見つけた。サイ・ゴダード。所属にはイングランドの名門、トッテナムとある。最近では年代別代表に“ハーフ”の選手が珍しくないが、サイもまた、そのひとりだ。 とはいえ、この小柄なMFのケースが珍しいのは、海外で育ち、日本でのプレー経験を持たない選手だということ。当然、日本語もほとんど話せない。こうした選手が年代別とはいえ、日本代表に選ばれるのは初めてのことではないだろうか。 まずは単純に言葉の心配をしてしまうが、吉武博文・U-16日本代表監督によれば、「問題ない」。練習でメニューの内容が十分に伝わらなかったとしても、「一番うまくやるのはサイなんです」と吉武。チームメイトからも「言葉は通じないけど、見て感じてくれるのでやりやすい」という感想が聞かれた。何よりサイ自身が、日本での代表選出に「ワクワクした」と言い、実
1つのケガが選手のキャリアを大きく変える。スポーツの世界で時折生じる運命のいたずらが今、世界最高のGKとまで言われた男を苦しめている。 ディエゴ・ロペスとの定位置争いに敗れ、控えGKとして新シーズンをスタートしたイケル・カシージャスである。 長年不動の守護神としてレアル・マドリーとスペイン代表のゴールマウスを守ってきたカシージャスの運命は、今年1月に負った左手親指付け根の骨折をきっかけに一変した。 この負傷により1カ月の離脱が確定して間もなく、ジョゼ・モウリーニョ前監督はセビージャで控えに甘んじていたディエゴ・ロペスを獲得する。その後、レアル・マドリー出身のロペスが安定したプレーで周囲の信頼を勝ち取ったこともあり、カシージャスは復帰後も一度もピッチに立てぬままシーズンを終えた。 それでも6月のコンフェデレーションズカップでは信頼関係の厚いビセンテ・デルボスケ監督の下、カシージャスはグループ
そもそもプロサッカーチームでプレーしたことが無く、しかもUCLAの理学部卒業というエリートでもあったアフシン・ゴトビ監督。13歳の時に起こったイラン革命の余波を恐れアメリカに亡命して以降、アメリカ国籍での人生に変わったという アフシン・ゴトビとは何者なのか? イラン人にしてアメリカ国籍を持つサッカー指導者……という、非常に複雑なバックグラウンドを持つ清水エスパルスの新監督。 ヒディンク監督の懐刀として、ハイテクを駆使し日韓W杯で韓国代表チームをベスト4にまで導き、故国のイラン代表監督を務めてアジア大会でベスト8まで進出させた男。 選手の大量流出で崩壊寸前と言われた開幕から、シーズン折り返し地点で中位に位置するところまで辿りついた今。ゴトビ監督が進めているという「革命」の内実を尋ねてみた。 ――まずは今シーズン、エスパルスを率いるようになった経緯から教えて下さい。 知っての通り、私は日韓W杯
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