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2020年6月28日のブックマーク (4件)

  • 被害者の呪い - 内田樹の研究室

    毎日新聞に三ヶ月に一度「水脈」というコラムを書いている。 いささか旧聞に属するが、そこに聖火リレーのことを書いた。 昨日の夕刊に出たので、もうブログに採録してもよろしいであろう。 こんな話。 オリンピックの聖火リレーをめぐる騒動を眺めていて、いささか気になってきた。何か「厭な感じ」がしたからである。何が厭なのか、それについて少し考えたいと思う。 熱い鉄板に手が触れたときに、私たちは跳びすさる。「手が今熱いものに触れており、このまま放置すると火傷するので、すみやか接点から手を離すことが必要である」というふうに合理的な推論してから行動するわけではない。たいていの場合、私たちはわが身に何が起きたのかを行動の後に知る。 聖火リレーにまつわる「厭な感じ」はそれに似ている。 だから、この論件については、誰の言い分が正しく、誰の言い分が誤っているというような「合理的」なことは申し上げられない。それは「

  • マスクについて

    この話も、当はネットに挙げたくはなかったのです。絶対怒られるから。何を言っても。 とはいえ、何も言わなければさらにデマが広がってしまうというジレンマが生じてしまいます。よって、ここでマスクについても説明します。これも長いですよ。 実は、マスクについての考え方について、新しく説明すべきことはあまりありません。どうしてかというと、その考え方は、 検査の考え方 と全く同じだからです。すなわち、 マスクの属性 だけで、マスクを論じてはならない。マスクがどのように飛沫の放出を防ぐかとか、防がないとか、富岳のシミュレーションでどうだとか、そういう「マスクの性能」は議論の一部をなすけれども、議論の全てではないってことです。 察しの良い読者はお気づきでしょう。そう、実はマスクの議論も、検査の議論同様、 状況の判断 が大事なのです。もう少し詳しく説明しますね。 マスクの効果についてはすでにメタ分析が出てい

  • ハーバード白熱教室ノート アウトライン

    3つの正義 正義の論拠をザックリ分類すると「結果」「自由」「美徳」の3種類になります。 結果の正義 Lecture1-4 結果から正義を導く考え方を『帰結主義』といい、その典型が『功利主義』です。 ベンサムとミルは功利主義を唱えた代表的な政治哲学者で、「社会全体の幸福の総和と苦痛の総和の差分を最大化することが正義だ」と考えました。 ベンサムは様々な幸福を平等に扱い、その量だけを比較する『量的功利主義』を唱えましたが、ミルは質の高低を考慮した『質的功利主義』を主張しました。 自由の正義 Lecture5-16 自由から正義を導く考え方を『自由主義』といいます。人間には自然な権利があると考えるのです。 ロックは「個人の権利を守るため社会が生まれた」と考え『社会契約論』を唱えました。そして社会を維持するためには、人々が一定の犠牲を払う必要がある、と認めました。また、社会契約に反して平等な人権を守

  • ハーバード白熱教室ノート Lecture1,2 再検討

    議論を再検討する 最初に、この『再検討』というページについて説明します。 サンデル教授の講義には毎回、学生同士の議論を喚起する場面があります。学生たちの思いつきによる発言が、どうして教授の意図する講義の流れにうまく乗っかる議論になるのか? じつは、発言の流れを仔細に検討してみると、端々で教授が議論の方向性を誘導していることがわかります。 スピーディーで流れるような講義と学生同士の議論が両立しているのは、素晴らしいことです。しかし、学生の主張の一部が無視されて宙ぶらりんになったり、あるいは時間の都合で発散した議論がバッサリ刈り込まれたり、という部分が、たくさんあるのも事実なんです。 『再検討』では、議論の流れを再現し、「のどに引っかかった小骨」に注目していきます。その成果の一部は既に『ノート』の中に埋め込まれていますが、稿は字数無制限で気の済むまで書き込んでいきます。なお、稿に登場する教

    pkeratta
    pkeratta 2020/06/28
    “アメリカでも少数意見を述べるのは勇気が必要なことであり、 ~(中略)~ いちいち褒めるには値しない、とサンデル教授は考えない。翻って、日本の教師はどうか。 ~(中略)~ 教室の空気を重くしてはいないか。”