川岸に係留した屋形船でカキ料理を提供する「カキ船」を広島市中区の原爆ドーム近くに移転する計画をめぐり、一部の市民から「祈りの場であるドームの世界遺産としての価値が損なわれる」と反対の声が上がっている。市は「カキ船は江戸時代から続く広島の文化。手続きにも法的にも問題はない」と理解を求める考えだ。 カキ船は現在、ドーム前を流れる元安川に2店ある。このうち、ドームの約600メートル下流で営業している「かなわ」が今年夏にも、原爆忌の式典などが行われる平和記念公園脇の元安橋のたもとに移転する。台風などで流され橋にぶつかる恐れがあるとして、川を管理する国が流れの少ない場所への移転を求めたからだ。 かなわは市などと移転先を協議。市が事務局を務める「水の都ひろしま推進協議会」は昨年11月に移転を認め、国も河川の占用許可を出した。 これに対し、一部の市民らは「カキ船のにぎわいは平和の地にふさわしくない