街場の文体論 韓国語版の序文 みなさん、こんにちは。内田樹です。 『街場の文体論』お買い上げありがとうございます。お買い上げでなく、いま書店で立ち読みしている方にもお手に取ってくださったことについてお礼申し上げます。 この本は僕が神戸女学院大学に21年間勤めて、退職する前の最後の学期に行った「クリエイティブ・ライティング」の講義録に加筆したものです。教壇で半年間まとまった講義をするのもこれが最後でしたので、僕がそれまで言語と文学について考えてきたことを全部詰め込んだ、欲張りな授業でした。 これが韓国語訳されることになったわけですけれど、果たして僕がこの授業で取り上げたさまざまなトピックが隣国の読者たちにとっても同じような切実さを持つものかどうか、確信がありません。でも、一つ言えるのは、韓国でも日本でも、言語が遭遇している危機についてはおそらくそれほどの違いはないということです。それは母語が
1997年の大規模な緊縮財政で、日本はデフレに転落し、景気が上向くと緊縮で芽を摘む繰り返しで20年が経過した。就職氷河期となり、ワーキンクプアのまま取り残され、結婚ができなかったり、子供の貧困を起こしたりして、アンダークラスは再生産されるように至り、格差社会は、階級社会へと固着する。かつての成長最優先の所得倍増路線が平等化を進めたのに対し、今の財政再建至上の緊縮が階級を形成した。実はシンプルな話でしかない。 ……… 橋本健二先生の『新・日本の階級社会』は、アンダークラスという名の非正規にしか就けない新たな最下層階級が日本に形成された実態を記すものだ。アンダークラスは、929万人で就業人口の15%ほど、平均個人年収は186万円と極端に低く、貧困率は38.7%、女性では48.5%にも上る。男性の有配偶者はわずか25.7%、女性の離死別者は50歳代には80.0%にもなる。むろん、生活や仕事への満
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