選挙を前にして、ぜひ読んでほしい本がある。 この時期に出版されたことを心から感謝したくなる一冊。それは湯浅誠氏の『ヒーローを待っていても世界は変わらない』(朝日新聞出版)だ。 なぜ、今読んでほしいのか。それは「決断できる政治」や「強いリーダーシップ」を待望してしまう人々の「気分」が、あまりにも鋭く分析されているからだ。 特に読んでほしいのは、「さっさと誰か決めてくれ。ただし自分の思い通りに」と思っている人。それはあらかじめ裏切られることを約束された願いであるということが、本書を読むと怖いくらいによくわかる。 たとえば、閉塞感極まる状況で、私たちはもう長いこと「既得権益バッシング」が激化するさまを見てきた。公務員や労働組合、そして最近では生活保護受給者までもが「既得権益」という言われ方をする。 そんな既得権益に対して、湯浅氏は以下のように書いている。 「世の中は不要不急の『既得権益』に満ちて
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