アメリカから日本にも飛び火した、中国の偵察用気球をめぐる騒動。日本政府は、異例のスピードで自衛隊の武器使用基準の見直しを進めた。最初は、たかが気球、と感じた人も多かったと思うが、取材を進めると、実は台湾有事をめぐる日本の対応にも変化を及ぼしていることが見えてきた。 (西澤文香、家喜誠也、立石顕) 2020年 危機感なかった日本 「当時、気球が飛んでいたことは把握していたのに、何も対応していなかった。後悔している。恥だね」(政府関係者) 東北地方で謎の気球型の飛行物体が目撃され、ちょっとした騒ぎになっていたのは、3年前の2020年。 ある政府関係者は、その時の対応を振り返り、取材に対してこう語った。 「気象観測用あたりだろうということで、危機感をもっていなかった。中国のものかどうかもわかっていなかった。一応、警戒はするけど、安全保障上の脅威にはあたらないだろうと」 当時の河野防衛大臣も記者会